FOMCメンバー「タカ派・ハト派」変化表[2019年8月]
タカ派か?ハト派か?なんて知ってどうするのさ?
FOMCメンバー10人には、
タカ派(猛禽類の鷹=金融引き締め派=景気に強気の見通し=金利を上げたい人)
と、
ハト派(平和の鳩=金融緩和派=景気に弱気の見通し=金利を下げたい人)
がいます。
FRB議長であり、FOMC委員長のパウエルさんは中立派なので、派閥は3つに分かれています。
『タカ派かハト派かなんて知ってどうするのさ?』
と思う人もいるでしょう。
それはですね・・・
ある人の発言によって、株価と為替の値動きに影響するからです。
全員の発言が重要とは限らない
FOMCメンバー10人は、あらかじめ定められた2019年FOMC日程に沿って政策金利の決定会議を行います。
次回は9月17日から9月18日です。(9月19日3時に発表)
その次は10月30日。その次は12月11日で今年は終わり。
会議と会議の間は結構な時間が空くわけですが、ここで各人がいろいろ発言するわけです。テレビなどメディアのインタビューの場合もありますね。
ツイッターは今のメンバーでは無かったかな。
そこでの発言は10人中、皆が皆重要とは限りません。
私が注目している人(場合)は以下です。
- パウエルFRB議長
- NY連銀ジョン・ウィリアムズ総裁
- 今の金融情勢と逆の支持者(今は緩和傾向なので、タカ派の人)
- 志向と逆のときが一番サプライズ
パウエルFRB議長
これは言わずもがな。
NY連銀ジョン・ウィリアムズ総裁
この人は要注意人物です! 理由は2つ。
まず、ニューヨーク連銀総裁は他の連銀と違って、毎年常にFOMCの投票決定権を持っているんです。
学校では、嫌な奴はクラス替えでバイバイできることがあります。
でもこの人はいつもいる。だから重要です。(総裁が違う人に替わることがあるが)
そしてもう1つの理由は、ウィリアムズ総裁は、「中立⇒タカ⇒ハト⇒中立?」のように、志向がコロコロ変わり、その内容も一貫性に欠けるんです。(ぱたる的にね。メディアのほとんどは「中立派」と表記している)
今の金融情勢と逆の支持者(今は緩和傾向なので、タカ派の人)
今はさらなる利下げを市場は期待しています。
そのような情勢で注目されるのはタカ派の人の発言です。ハト派の人は大抵情勢どおりの発言をすることが多く、あまり株価や為替に影響しない。
しかし、タカ派の人は時より、「いやいや、利下げは必要ござらん!」とタカることがあり、株価や為替に影響します。
志向と逆のときが一番サプライズ
最後に、虚を衝かれるのがこれ。
たまに普段の志向と逆の発言をする人がいて、それが一番のサプライズです。強く株価や為替に影響します。
2019年FOMCメンバー「タカ派・ハト派」一覧表
8月現在の、2019年FOMCメンバー「タカ派・ハト派」一覧表はこちらです。右列の前回とは、少し前までの志向を表しています。(この表は毎月更新予定なので、来月以降は前回=前月の意味)
名前 | 役職・地区 | 現在 | 前回 | |
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チャールズ・エバンズ | シカゴ | ハトS | ハト |
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ジェームズ・ブラード | セントルイス | ハト | ハトS |
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ラエル・ブレイナード | FRB理事 | ハト | ハト |
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ミシェル・ボウマン | FRB理事 | 中立 | 中立 |
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リチャード・クラリダ | FRB副議長 | 中立 | 中立 |
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ジェローム・パウエル | FRB議長 | 中立 | 中立 |
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ジョン・ウィリアムズ | ニューヨーク | 中立 | タカ |
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ランダル・クォールズ | FRB副議長 | タカ | タカ |
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エリック・ローゼングレン | ボストン | タカS | タカ |
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エスター・ジョージ | カンザスシティ | タカS | タカS |
※ ハトS=ハト・スーパー:より強いハト派
※ タカS=タカ・スーパー:より強いタカ派
※ 地区名にはプラス「連邦準備銀行総裁」になりますが、記載省略しています。(例:シカゴ連銀総裁)
※ NY以外の連銀総裁は2020年に入れ替わります。
最近の2019年FOMCメンバー発言
以下、最近のメンバーの発言です。
6/4 クラリダFRB副議長 「利下げ言及」
7/19 ウィリアムズ・NY総裁 「早期に金融緩和が必要」
7/31 ローゼングレン・ボストン総裁 「7/31FOMC利下げ反対票」
7/31 ジョージ・カンザスシティ総裁 「7/31FOMC利下げ反対票」
8/6 ブラード・セントルイス総裁 「金融緩和の効果を見るべき」
8/7 エバンズ・シカゴ総裁 「インフレ見通しだけでも追加緩和を要する」
タカハト半々か。
全て拾い上げられていない可能性もありますが、以上が最近のメンバー発言です。
2020年FOMCメンバー「タカ派・ハト派」一覧表
次に、来年2020年のFOMCメンバーも見てみましょう。(2019年のメンバーは、NY以外の連銀総裁は2020年に下記メンバーと入れ替わります。)
名前 | 役職・地区 | 現在 | 前回 | |
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ニール・カシュカリ | ミネアポリス | ハトS | ハトS |
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ロバート・カプラン | ダラス | 中立 | ハト |
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パトリック・ハーカー | フィラデルフィア | タカ | 中立 |
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ロレッタ・メスター | クリーブランド | タカ | タカ |
最近の2020年FOMCメンバー発言
6/5 カプラン・ダラス連銀 「利下げを求めるのは早い」
7/12 カシュカリ・ミネアポリス連銀 「0.5%の利下げが必要」
7/31 ハーカー・フィラデルフィア連銀 「利下げ懐疑的」
7/31 メスター・クリーブランド連銀 「利下げ懐疑的」
タカ派優勢。
直近で関係ない人は過激発言しがち?
実は、2019年、2020年にも投票権がない関係者は他にもいます。
こちら。
- トーマス・ バーキン リッチモンド連銀総裁
- ラファエル・ボスティック アトランタ連銀総裁
- メアリー・ デイリー サンフランシスコ連銀総裁
- マイケル・ストリーネ ニューヨーク連銀副総裁(FOMC代替メンバー)
- FRB理事 空席
- FRB理事 空席
これらの人は、自分に投票権がないのでやや強めの発言することがあり、株価や為替に一定の影響を与えます。
例えば、
5/20 ボスティック・アトランタ総裁 「年内の利下げの可能性はない」
ハト・タカ・中立のバランスが取れているように見えるが・・・
2019年FOMCメンバーは一見、「ハト・タカ・中立」のバランスが取れているように見えます。
しかし、中立派は日和見(ひよりみ)派とも言えます。
つまり、風によって向きを変える風見鶏。
「あ~、またトランプがプレッシャー掛けてるな・・・よし、利下げ票に入れよう」
とか、
「パウエルさんも利下げに傾いてるな、よし、利下げ票に入れよう」
と、強いものになびくのが日和見主義。
メンバーで言えば、
ミシェル・ボウマンFRB理事
リチャード・クラリダFRB副議長
この2人。
なんてね。実際は分からんか。
バランサーの役割に強い信念を持った中立派かもしれないしね。(ん? 信念を持った中立派って結局何だ?)
だから、基本的に投票が5:5などに割れることはありません。
・・・
さて、9月18日のFOMCでは利下げか? それとも据え置きか?
・・・
この表を作ったからといって分かるわけではない。
2019年FOMC日程。