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HDV銘柄入れ替えの基準、その真実を探る!前編

ETFリーグではダメな選手(銘柄)はトレードされる

「ETFリーグ」には、若手をじっくり育てるチームがあれば、フリーエージェントで有名選手を連れてくるチームもあります。

 

成績が芳しくない選手は当然トレードの対象になります。それが群雄が割拠している「ETFリーグ」のルールです。

 

HDVはすぐに選手(銘柄)の首を切るチーム

そんな多くの猛者が集まるETFリーグでも異彩を放っているのがチーム「HDV」

正式名称は「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」

 

HDVはどんどん選手(銘柄)を入れ替えることで有名です。

「そこまで悪かったっけ?」というようなグレーゾーンの選手も気がつけば「クビ」にされています。

 

ETFはいろいろな指数に基づいて運用されている

さて、スポーツの例えも飽きてきたので普通に進めていきましょう。

 

ETFはいろいろな指数に基づいて運用されています。代表的なのは、

  • S&P500指数
  • ダウ工業株平均株価指数
  • ナスダック総合指数

 

このあたりでしょうか。日本なら、TOPIXや日経平均がそれにあたります。

 

HDVの過去と現在の運用を考察する

たくさんあるETFの中でも、今回の主役はHDV。

 

私のポートフォリオでもメインに位置づけています。

採用している指数は「モーニングスター配当フォーカス指数」

 

HDVは他のETFと比べても、ガンガン銘柄を入れ替えていきます。

  • 果たしてそれは適切なのか?
  • 指数のとおり行っているだけなのか?
  • 指数の基準は何なのか?
  • そこに人間の判断は入ってないのか?
  • 過去に組入銘柄から外された銘柄はなぜ外され、現在どうなっているのか?

 

そのあたりを探っていきます。

 

モーニングスター配当フォーカス指数とは?

以下は、モーニングスター株式会社のアメリカ版サイトの、モーニングスター配当フォーカス指数の内容を翻訳したものです。

 

モーニングスター®配当金

Morningstar®Dividend Indexファミリーは、配当支払株式を追跡する一連の商品を提供しています。

(中略)

アプローチの技術は、企業の持続可能性に重点を置いたインテリジェントな配当インデックスをもたらし、よりスマートなウェイトスキーマを使用し、投資のスケーラビリティを最大限に高めます。

(中略)

 

途中まで。

 

「ふーん、なるほどね。インテリジェントな配当インデックスをもたらし、よりスマートなウェイトスキーマを使用してるんだ!安心~。でもって、投資のスケーラビリティを最大限に高めてるのか!わ~スゴ~イ!うんうん、わかるわかる・・・」

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

「ってわかるか! ボケー!」

 

ふー ふー(血管ピクピク) プシュー(湯気)

 

・・・ 続きに進みます。

 

モーニングスターのエクイティアナリストは、

(中略)

ビジネスおよび財務分析を行います。

(中略)

Morningstar®Economic Moat™Rating、Uncertainty Rating、およびDistance-to-Defaultなどの分析と独自の指標を基盤として、配当の質を反映した配当指標を作成します。

途中まで。

 

出てきた文言は、

  1. Moat Rating=競争優位性(エコノミックモート)=経済的な堀
  2. Uncertainty Rating=不確実性評価
  3. Distance-to-Default=デフォルト懸念(財務安全性)

 

うーん、わかったような、わからんような・・・

「EPS(1株あたり純利益)がいくら以上」とか、「配当は何%以上で」とか具体的数値が書いてないのでどうにも解釈できそうです。

 

・・・ 続きに進みます。(まだあんのかよ)

 

持続可能性の探究

当社のDividend Indexファミリーは、投資家が現在の利回りと配当の成長を適切にバランスさせ、長期の現金収益を重視しています。 配当指数の一例は、モーニングスター配当フォーカスインデックス。これは、健全な財務健全性と平均以上の配当性向を維持できる能力を備えた高品質の米国企業へのエクスポージャーを提供します。 独自の指標を使用してスクリーンを適用し、アナリストが競争上の優位性と財務上の安全性のためにこれらの支払いを維持できると考えている企業を見つけます。

ここまで。

 

配当指数の一例がモーニングスター配当フォーカスインデックス? 全部じゃないのか?

 

うーん、何らかのスマートベータ指数(※)を使ってそうだな。

(※スマートベータ指数とは、「売上、EPS、キャッシュフロー、配当金などの財務指標や、株価の変動率などを要素にして、独自に定めた指数)

 

モーニングスター配当フォーカスの内容を整理する

まとめると、

  1. 競争優位性
  2. 不確実性評価
  3. デフォルト懸念(財務健全性)
  4. 平均以上の配当

 

以上が、HDVをHDVたらしめている構成要素になるようです。

 

競争優位性とか、高配当あたりはわかりますが、不確実性評価とデフォルト懸念はよくわかりませんね。もしかすると、

  • 不確実性評価=生活に密着した関連セクターへの偏り
  • デフォルト懸念=営業利益やキャッシュフローなどの数値

このあたりのことなのか?・・・

 

HDVは高配当のディフェンシブ銘柄

不確実性評価=生活に密着した関連セクターへの偏りの可能性があると言いましたので、改めてHDVの基本情報をおさらいしましょう。

 

iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF

ファンド概要: iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETFは、配当水準が比較的高位の米国株式で構成される指数と同等の投資成果を目指しています。

ティッカー:HDV

指数:モーニングスター配当フォーカス指数

開設日:2011年3月29日

純資産額:65億ドル

直近配当率:3.78%

経費率:0.08%

組入銘柄数:75銘柄

運用会社:ブラックロック(ETF運用の最大手)

 

組入上位のセクターはこちら(2018年8月現在)

  • ヘルスケア 19.87%
  • 生活必需品 19.12%
  • エネルギー 18.05%
  • 電気通信 14.78%
  • 公益事業 7.80%

以上で合計79.6%を占めます。これらセクターは、生活に密着しており、必需品だからこそ不況時、暴落時も大きく値を下げないと言われています。(もしくは他のセクターと比べて下げ幅が小さい)

 

HDVの売りは、あくまで高配当かつ、不況に強いとされるディフェンシブ銘柄で固めるのがアイデンティティー。

私がポートフォリオのメインとする理由です。

 

HDVのその他セクターは?

HDVのその他セクターは、

  • 情報技術 6.52%
  • 資本財・サービス 6.47%
  • 一般消費財・サービス 4.51%
  • 金融 1.65%
  • 素材 0.70%

以上が少数セクターで合計20.4%。情報技術セクターの割合は6.52%しかありません。このあたりがVYMと大きく違うところです。

 

過去の組入銘柄に鑑みて、HDVの特性としてハッキリしているのは、

  • ライバルであるVYMより高配当
  • 生活に密着した関連セクターで全体の8割ほどを占める
  • 75銘柄に絞ることにより、1銘柄あたりの比率を高める

これがHDVの特徴です。

 

再度、モーニングスター配当フォーカスの指数要素を確認すると、

  1. 競争優位性
  2. 不確実性評価
  3. デフォルト懸念(財務健全性)
  4. 平均以上の配当
  5. 生活に密着した関連セクターへの偏り

 

前述で引用した文章には入っていませんでしたが、5番目の「生活に密着した関連セクターへの偏り」が指数の構成要素として入っていると考えられます。

でないと、セクターの偏りの説明ができません。

 

ん? まてよ、高配当の株を集めたらこういうセクターに固まったという逆説もあるか?

 

・・・ ・・・

 

いや、多分それはないと思います。高配当ってだけで非ディフェンシブ株はいくらでもありますし。

 

HDV組入銘柄の選定基準は何なのか?

結局のところ選定基準は何なのかよくわかりませんでした。

しかし、先に進むためにもひとまず仮定ではありますが、結論を出します。

 

【結論】HDVの銘柄選定の基準は、「生活に密着した関連セクターを中心とし、競争優位性がある事業と、健全な財務、平均以上の配当を出す銘柄が選定の基準となる。

 

かなりフワッとしてますが、以上が選定基準と思われます。

う~ん、S&P500なら、時価総額加重平均型=企業の時価総額の高い順で500社ピックアップするので非常にわかりやすいですが、HDVは謎のまま。

おそらく、何らかのスマートベータ指数なんでしょうが、もしかするとアクティブファンドに近いかもしれませんね。

 

少しモヤモヤしますが先に進みましょう。

 

過去8年弱にHDVから除外された銘柄数と割合

それでは、HDVから除外された銘柄数と割合をチェックしてみましょう。

 

下の表は、HDV開設の2011年から2018年現在の組入除外数と除外率(入替率、回転率)を表しています。

スマホは横向きにすると右側も見られます。

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 平均
銘柄数 75 74 73 74 75 75 74 75 74
除外数 21 26 35 32 33 29 25 29
除外率 28% 36% 45% 40% 42% 37% 32% 39%

 

平均除外数が29銘柄、平均除外率が39%となっており、たまに見聞きする除外率(入替率)60%越えとは大幅な開きがあります。

これには理由がありまして、各年のデータは2018年以外、「12月現在のデータのみ」を参照しています。そして、そのデータにある銘柄が翌年の12月にあるかないかを調べました。

 

しかし、実際は年に数回入れ替えが行われているため、12月以外のデータを含めると1.5倍から2倍くらいの数値になる可能性があります。

仮に1.5倍とすると、平均除外数が44銘柄、平均除外率が59%となるので、おそらく、このくらいの数値になるのでないでしょうか。

 

この参照方法は、すべての月を調べるのが面倒だった(笑)のが一番大きな理由ですが、次の項で紹介するように、割合比率が多い銘柄のみでチェックすれば、傾向はしっかり出ると思ったのでこのような方法を取りました。

 

過去8年弱のHDV組入銘柄トップ20

下の表は、HDV開設の2011年から2018年現在の組入比率上位20位を記載しました。

 

以下、過去約8年弱のHDV銘柄トップ20です。(ティッカーにて)スマホは横向きにすると右側も見られます。

2011.12 2012.12 2013.12 2014.12 2015.12 2016.12 2017.12 2018.8
1 T T T XOM XOM XOM XOM XOM
2 PFE CVX CVX T VZ T T T
3 JNJ MSFT JNJ VZ JNJ VZ VZ VZ
4 VZ JNJ PG GE CVX JNJ CVX JNJ
5 PG PFE PM CVX PG CVX PFE PFE
6 PM PG MRK PG PFE PFE WFC CVX
7 MRK VZ INCO PFE PM PG PG PG
8 INCO PM KO PM KO PM PM CSCO
9 MO MRK MO KO MRK KO CSCO KO
10 COP INCO COP MRK MO CSCO KO PEP
11 ABT MO MCD MO INTC INTC INTC MRK
12 BMY COP BMY CSCO CSCO MRK MRK MO
13 LLY MCD DUK COP MCD MO IBM MMM
14 KFT BMY LLY MCD OXY IBM MO MCD
15 SO DUK SO KMI SO PEP PEP BMY
16 DUK LLY DD OXY UPS MCD SLB DUK
17 EXC KTF LOM DUK LMT QCOM DUK LLY
18 D CTL TXN SO D WMT UPS SLB
19 KMB SO D LLY KMB OXY D UPS
20 LOM DD KMB LMT EMR LLY NEE D
合計(%) 80.87 79.62 80.62 80.94 84.29 84.68 81.53 80.38

 

 

上位によく顔を出しているのは、

T = AT&T

JNJ = ジョンソン エンド ジョンソン

CVX = シェブロン

XOM = エクソン モービル

VZ = ベライゾン

このあたりです。

 

表の一番下の合計(%)は、上位20銘柄の組入比率を足したもので、ほぼ全体の8割を占めています。

 

21位より下は組入比率が1%を切るようなモブ銘柄(※)なので、大勢に与える影響は少なく、上位20位でも主旨に沿ったデータは必要十分と判断しました。

(※モブ銘柄=「村人A」のような存在感のない銘柄)

 

ではこのトップ20のリストから除外銘柄を探っていきます。

 

過去にHDVから除外された銘柄は15銘柄

上記8年弱、トップ20の中で、組入銘柄から除外されたのは33銘柄。

その内、復活した銘柄もあり、過去3年以内に復活した銘柄は除外リストから外します。

 

また、2017年に組入されていて、2018年に外されたものは来年あたり復活する可能性もあるので、ひとまず外します。

 

・・・ ・・・

 

そうすると、その年1回だけ登場して、その後消えていったものが15銘柄。

2年以上復活していないものが2銘柄。

15+2=17銘柄中、合併や買収でなくなった銘柄が2銘柄あるのでこれを引きます。

 

以上、合計15銘柄をHDV「除外リスト」としてカウントします。

 

HDVの除外率(入替率または回転率)は高くない

HDV開設から約8年弱で、上位20位の内、入れ替えされたのが15銘柄です。

 

1年間で約2銘柄が入れ替えられる計算です。

つまり、パフォーマンスに影響を及ぼす銘柄の除外率(入替率または回転率)は年に10%と、そこまで高くはありませんでした。

ロロノア・ゾロの「煉獄鬼斬り」のごとく斬りまくって、半分くらい入れ替わっているかと思いましたが、多くはモブ銘柄が入れ替わっていただけで、メイン銘柄はそれほどではないとわかりました。

 

次に、その15銘柄はどのような状態のとき除外されたのか?

 

そのあたりを探っていきます。

 

・・・

 

後編に続く・・・

HDV銘柄入れ替えの基準、その真実を探る!前編からの続き 除外された15銘柄のEPS推移と配当率、騰落率では、後編に進みます。 以下、除外された15銘柄の表です。それぞれ、EPS(※1)推移と配当率、騰落率(※2)を記載しています。(※1 EPSとは、1株あたりの利益。希薄化とは新株発行、増資などにより、株式数が増えて1株あたりの金額小さくなること)(※2 騰落率とはある期間の始めと終わりで数値がどれだけ変化したかをプラスマイナスで表す率) HDV除外リスト17銘柄一覧(スマホは横向きにすると右側も見られます)№...
HDV銘柄入れ替えの基準、その真実を探る!後編 - 2024年にFIREするぱたるの米国株ブログ

 

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