経済指標ってありますよね?
「○○景況指数」だとか、「○○統計」だとか、あの漢字が多くてよく分からないやつ。
『米国株投資をするなら指標くらいチェックしたほうがいいのかな・・・? けど・・・ 数が多くて、なんかワケが分からないから、ニュースで見ても「ふ~ん」って思うだけだ・・・』
という人は多そうです。
大丈夫、そんなあなたに朗報です。
「米国株投資家がチェックする指標は毎月たった3つだけ」でいいんです。
その前に、私が普段チェックしている指標と、その重要度をまとめたのでチラッと眺めてください。
発表時期 | 指標 | 重要度 |
第1営業日 | ISM製造業景況指数 | ★★★ ★★ |
第3営業日 | ISM非製造業景況指数 | ★★★ ★★ |
上旬 | 耐久財受注(輸送用機器除く) [確報値](調査月の翌々月) | ★★ |
雇用統計の2営業日前 | ADP雇用統計 | ★★★ |
第1金曜日 | 雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率) | ★★★ ★★★ |
5日前後 | 貿易収支 | ★★★ |
10日前後の金曜日 | ミシガン大学消費者信頼感指数 [速報値] | ★★★ |
12日前後 | 消費者物価指数(CPI・コア) | ★★★ ★ |
第2週15日前後 | 小売売上高(自動車除く) | ★★★ ★★★ |
15日 | ニューヨーク連銀製造業景況指数 | ★★★ |
第3木曜日 | フィラデルフィア連銀製造業景況指数 | ★★★ |
14〜17日 | 鉱工業生産指数 | ★★★ |
22日ごろ | 中古住宅販売件数 | ★★★ ★ |
下旬 | 新築住宅販売件数 | ★★★ |
下旬 | 耐久財受注(輸送用機器除く) [速報値](調査月の翌月) | ★★★ |
下旬 | 4半期GDP [速報値](1・4・7・10月) | ★★★ ★★★ |
下旬 | 4半期GDP [改定値](2・5・8・11月)、[確報値](3・6・9・12月) | ★★★ ★ |
下旬 | コンファレンスボード消費者信頼感指数 | ★★★ |
下旬 | 中古住宅販売成約指数(仮契約) | ★★★ |
毎月最後の金曜日 | ミシガン大学消費者信頼感指数 [確報値] | ★★ |
月末 | PCEコア・デフレーター(個人消費支出・食品・エネルギー除く) [前年同月比] | ★★★ ★★★ |
『か、漢字が多い!(プルプルプル~!)』
興味のある人は上記21個全てを調べてみてもいいですが、プルプルしている人にはここから最重要な指標を3つセレクトします。
すでに上記の赤字で分かったと思いますが、最重要な指標は以下3つです。
発表時期 | 指標 | 重要度 |
第1金曜日 | 雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率) | ★★★ ★★★ |
第2週15日前後 | 小売売上高(自動車除く) | ★★★ ★★★ |
月末 | PCEコア・デフレーター(個人消費支出・食品・エネルギー除く) [前年同月比] | ★★★ ★★★ |
簡単にまとめると、「アメリカの政策金利の決定に影響する雇用とインフレ率が分かり、GDPの7割を占める個人消費もチェックできる」のがこれらの指標なんです。
FRBの使命はアメリカの「雇用の最大化と物価の安定」です。
どの国のアセットであれ、株式や債券の投資で成功したかったら、FRBの動向は無視できません。これに関係する指標が、
雇用統計
PCEコア・デフレーター
また、アメリカ経済の景況感を計る指標はいろいろありますが、大きな動きを捉えられるのは、
小売売上高
なんです。
それぞれ簡単に説明します。
毎月第1金曜日は「雇用統計」
これ実は、雇用統計という指標はなくてただの通称なんです。実際は、10個ほどある様々な雇用に関係ある指標をまとめてこの日に発表するため、雇用統計と呼ばれているだけです。
『10個だと!?』
と警戒しなくて大丈夫。
チェックするのはこの2つでOKです。
非農業部門雇用者数
失業率
この2つの発表結果により、ドル円含めて最も為替が動くのがこの指標です。
10年前はFXで稼げたんだよな~。最近は50銭動けば多いほう。
さらに、FRBが政策金利(FF金利)を決定するための指針として非常に重要視しています。
「アメリカの雇用が増えているか?」
「どのくらい増えたか?」
をチェックします。
増加数は好不況で変わりますが、今(2019年8月)は15万~25万人増だとまずまずの結果です。
これも雇用と関係します。
失業率は好不況で変わりますが、今(2019年8月)は4%未満だとまずまずの結果です。
毎月第2週15日前後は「小売売上高(自動車除く)」
日本のGDPに占める個人消費は6割ほどですが、アメリカは7割です。1割の違いは大きいですね。
例えるなら、アメリカという車のアクセルとガソリンは一人ひとりのアメリカ人なんです。
燃費の悪い車のアクセルを「ベタ踏み」してくれれば経済は好調になるわけです。
「自動車除く」というのはそのままの意味で、上下のブレが大きい「自動車」を入れないほうがより正確に指標を読み取りやすいんです。
毎月月末は「PCEコア・デフレーター」
「PCEコア・デフレーター」の地味っぷりは、アニメに出てくる、普段眼鏡をかけていてちょっとツンデレの黒髪地味めな女子が、眼鏡を外すと超かわいくて実は性格もいい、っていう中二男子が大好きな設定と同じ要素と思ってください。
これも、FRBがインフレ率を計るためにかなり重要視している指標です。コアというのは上下のブレが少ない「食品・エネルギーを除く」指標になります。
全世界の株式および債券の投資家は、チェック必須の指標と言っていいでしょう。
にもかかわらず、ニュースでの扱いは小さく、為替もほとんど動かない。なぜだ?
FRBのインフレ目標は2%。現在は1.6~1.7%、しかも下落基調なので、FOMCメンバーは利下げモードになっているかもしれません。
重要な指標は3つと言いましたが、ホントは少し違います。
毎月の指標は上記の3つで間違いないんですが、実は、1・4・7・10月はGDP速報値の発表があるんです。タイミングはその月の下旬。
GDPの速報値の重要度は★6つなので、1・4・7・10月はできればチェックしたいですね。覚え方は「GDPは石納豆(1・4・7・10月=い・し・なっ・とう)」
一応、「小売売上高」でもGDPの代わりになりますし、毎月14〜17日に発表される「鉱工業生産指数」もGDPの先行指標と言われていますので、無理してチェックする必要はありません。
ちなみに、GDPは速報値の他に、「改定値」、「確定値」というように月々順番に発表されていきます。以下参照。
1月末 | 10-12月期GDP[速報値] |
2月末 | 10-12月期GDP[改定値] |
3月末 | 10-12月期GDP[確定値] |
4月末 | 1-3月期GDP[速報値] |
5月末 | 1-3月期GDP[改定値] |
6月末 | 1-3月期GDP[確定値] |
7月末 | 4-6月期GDP[速報値] |
8月末 | 4-6月期GDP[改定値] |
9月末 | 4-6月期GDP[確定値] |
10月末 | 7-9月期GDP[速報値] |
11月末 | 7-9月期GDP[改定値] |
12月末 | 7-9月期GDP[確定値] |
経済指標が何でとっつきにくいかと言えば、各メディアがいずれの指標もアクセントを付けないで報道するからなんです。
仮に一例として、「ニューヨーク連銀製造業景況指数」と「小売売上高」の報道の強さが同じなんです。(あくまで例だよ)
例えば、「ニューヨーク連銀製造業景況指数」の発表時は声を小さくしたり、短くしたり、ネットなら字を小さく短くしてくれれば、「あ、これ大した指標じゃないんだな」って分かりますが、トーンが同じだから困っちゃう。
はっきり言って、予想と結果のチェックだけすれば解説者やアナリストのコメントを見聞きする必要はありません。
あ、違った、そんなことないね。慣れないうちは見聞きしたほうがいいです。
ポイントは、「自分ならこの結果を受けてこう思うな」と自分の頭で考えること。その上で、解説者とかアナリストが何か言ったら、「いやいや、そんなもん関係ねーよ」みたいに感じられればOK。私はこんな風に捉えています。
そうすると何がいいって、物事が点と点ではなく、つながった線として捉えることができるようになってきます。
線で捉えられると何がいいって、突発的な報道にも動じにくくなるんです。
つまり、リスク資産を抱えていたら狼狽売りもしにくくなりますよね。
もちろん、線とか狼狽売りの話は、経済指標がすべて解決するわけじゃないので、あくまで物事の一面だけどね。
こんな話をすると、『やっぱり表の21個の指標を全部チェックしたほうがいいの?』と思うかもしれませんが、全部チェックしてメディアに振り回されるくらいならむしろ要らないと思っています。ちなみに、米国の指標だけでも21個より多いですが、私はノーチェックの指標もあります。(重要度が低いから)
精査できない多くの情報はとっても大きく強い害になることがあります。(もしかしたら人生においても同じかもね)
多くの情報をインプットしても処理できなければ混乱するだけなので、前述した「重要指標3選」だけ見れば大丈夫です。GDPもたまに振り返るくらいでOK。
『じゃあ、なんでぱたるは全21個の指標を見てるんだ?』って?
それは、
・・・
私がただのマニアだからです!ww
もちろん、慣れてきたら、情報を自分のフィルターにかけられるようになったら、見る指標を増やしても問題ありません。
その場合は、冒頭の表の重要度を参考に、★5つのISMから見ていけばいい。
他にもユーロとか、中国、ドイツ、日本などの指標もありますが、まずはアメリカのみでOKです。