当ブログでは米国株を中心としたインデックス投資をすすめています。
そこでよく出る話題が、「ダウとS&P500はどっちがいいか?」という話です。
では、早速結論を述べましょう。
それは、
・・・
「どっちでもいい」
です。
しかし、それでは話として面白くないので、それぞれの特性と、そのインデックス商品を買うポイント、分散理論やリターンについて考えていきましょう。
ダウは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する、アメリカを代表する30銘柄の平均株価を指数にしたもので、ダウの呼び方は色々あります。
ま、こんなところか。細かく言えばまだありますが、どれも同じと思ってください。
当ブログでは、「ダウ30」、または「ダウ」、「DOW30」と表記します。
ちなみにS&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が、アメリカで上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型の株価指数です。
「日本ではS&P500よりダウが注目されるが、アメリカでは逆だ」みたいな話がありますが、実際はどうなのでしょうか?
日本では、たしかに総合ニュースではダウとNASDAQのみで、S&P500を紹介しない番組が多くあります。
では、本国アメリカではどうなのでしょうか?
ネットや新聞で「上または左に表記」されていれば、注目度が高いと判断できますので、各ネットや新聞、テレビの扱い位置をチェックしてみましょう。
以下それぞれの媒体の表記順
ブルームバーグ
ロイター
モーニングスター
YAHOO! FINANCE
CNN(ニュース専門チャンネル)
ウォールストリート・ジャーナル
お、意外。ほとんどがダウが一番で、S&P500は2番目か3番目の表記でした。
つまり、本国アメリカでは、S&P500の注目度は日本より高いが、どちらかと言えばダウが上、という結論でした。
ダウ30とS&P500をチャートで比較してみましょう。
まずは1995年から2019年現在の24年間。
赤がダウ
青がS&P500
騰落率は、
ダウ : +530.80%
S&P500 : +477.21%
でダウの圧勝。
次は15年チャート。
騰落率は、
ダウ : +176.18%
S&P500 : +185.70%
今度は僅かにS&P500の勝ち。
最後は5年チャート。
騰落率は、
ダウ : +53.45%
S&P500 : +46.72%
再度ダウの勝ち。
3つの時間軸を切り取ったら、たまたまダウの2勝1敗でした。これは、違う時間軸で切り取ったらまた違う結果になりますが、それでも多くはダウが勝っていると思います。
ちなみに、30年、24年、8年、5年、3年、2年チャートはダウの勝ち。
15年、10年、6ヶ月、3ヶ月チャートならS&P500の勝ちでした。
1年チャートは引き分け。
多くの時間軸で見た場合、リターンが良いのはダウのようです。
「じゃあ、ダウのインデックス商品を選べばいいのか?」という話になりますが、正解でもあり、そうでないとも言えます。
今回の企画は冒頭で言ったように、正直ダウでもS&P500でもどっちでもいいと思います。気持ちの問題、気分の問題と言ってもいいかもしれません。
ただ、山崎元さんも言っている、「同じくらい良い銘柄の場合、分散数が多ければ、リターンを落とさずリスクを減らせる」という理論を当てはめた場合、両者には大きな違いが出てくるんです。
つまり、
ダウ30は「30銘柄」
S&P500は「500銘柄」
です。
もし、「それぞれが同じくらい良い銘柄」と仮定した場合、より分散されているS&P500のほうがリスクが低く、リターンがいいはずなんです。
こちら、山崎元さんが解説している内容と同じです。
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2019年4月のスリーエム決算では、22年ぶりに-10%以上の大幅下落があり、ダウ平均の足を引っぱったことがありました。これも30銘柄しかないことが響きましたね。
多くの米国株ブログを見ていると、ダウ推しよりS&P500推しが多いような気がします。なぜそうなのか理由は分かりませんが、私にとってはこの「両者同価値分散理論」にやや傾いていることがあり、どちらかと言えばS&P500推しなんです。
『多くの場合、リターンがいいのはS&P500じゃなくてダウだって言ったよね? じゃあ、事実や歴史より理論を信じるわけ? それもあやふやな理論なのに?』
という話になりますが、その通りです。(笑)
私は若い頃は理論先行で、「物事は○○であるべき」などと、現実や歴史から目をそらしていることがありましたが、最近は違います。
なので、今の私ならダウ推しして然るべきなんですが、そうしないのは、ダウがアクティブ型の指数だと思っているからなんです。
「ダウはアクティブ型の指数なのか? それはダメなことなのか?」を語る前に、最近のダウの変革を見てみましょう。
下表は、リーマンショックがあった2008年から現在までの、ダウ銘柄の入れ替えの歴史です。
年 | 組み入れ | 除外 |
2018年 | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | ゼネラル・エレクトリック |
2017年 | デュポンがダウ・ケミカルと合併、ダウ・デュポンに | |
2015年 | アップル | AT&T |
2013年 | ゴールドマン・サックス、ビザ、ナイキ | アルコア、バンク・オブ・アメリカ、ヒューレット・パッカード |
2012年 | ユナイテッド・ヘルス | クラフトフーズ |
2009年 | シスコシステムズ、トラベラーズ | ゼネラルモーターズ、シティグループ |
2008年 | クラフトフーズ | アメリカン・インターナショナル・グループ |
2008年 | バンク・オブ・アメリカ、シェブロン | アルトリア、ハネウェル |
こうやって見ると、除外された銘柄にも、組入された銘柄にも「納得感」があります。2018年にはかつて「ザ・アメリカ株」を体現していたGEが外されましたね。過去のブランドも関係なく、しっかりと入れ替えてくれるあたりはさすがダウ30です。
・・・
と、言いたいところですが、気になる点もいくつかあります。それは、
ということです。
「人間の判断で入れ替えしているアクティブ型指数は不安だ」と言いましたが、正しくは「S&P500と比べたら腹落ちできない」です。
S&P500のような時価総額加重平均型であれば、機械的に入れ替えされるので、「入れ替えマネージャー」みたいな人が判断を誤るとか、それを決裁する人が判断を誤るとかがありません。でもダウにはその可能性がある。
まあ、わたしはひふみプラスも買ってますから、すべてのアクティブファンドを否定しているわけではありません。というか、ダウを強くは否定していません。
次はアップルのダウ採用狙いについて。
ダウ銘柄採用の前年2014年の4月23日、アップルは、7:1の株式分割(1株を7株に分割する)を発表しました。
発表前のアップルの株価は535ドルほどで、他のダウ銘柄は高くてもIBMの190ドルくらい、安いほうだとシスコシステムズの23ドルほどでした。
もし、分割前のアップルが入ってしまった場合、ダウの平均株価に与える影響が絶大になってしまいます。それがアップルがダウに入れない理由と言われていたため、アップルは525ドルだった株価を、7分の1の75ドルに分割し、見事翌年の2015年にダウ採用になったわけです。
こんなことまでしなきゃいけない、こんなことをしたらダウに入れる。これがすでに指数として歪んでいる現象であり、「気分的にダウよりS&P500がいい」と感じます。
私は今では、頭でっかちな理論先行ではなく、現実に目を向けたいと思っています。現実とは、過去のリターンはダウのほうがS&P500よりいいという事実です。
しかし、だからといって、単純に絶対ダウがいいとは断言できません。それが先ほど挙げた以下の理由です。
次は商品比較です。指数がなんであれ、実際の商品の良し悪しが投資判断に大きく影響します。
これから紹介する商品は、いずれも指数から大きく乖離していないようです。ですので、単純に「ブランド力」と「信託報酬の安さ」で考えていきます。ブランド力とは信託報酬を下げ続ける姿勢なども関係します。
まずETFから。信託報酬は税別。
指数 | 商品 | 信託報酬 |
ダウ30 | DIA SPDRダウ工業株平均ETF | 0.17% |
S&P500 | VOO バンガードS&P500ETF | 0.03% |
こちらはS&P500代表のVOOの圧勝。
と言っても、数百万円レベルの投資額ならどっちを選んでも大差はありません。S&P500はブラックロックのIVVでもOK。
次は投資信託。信託報酬は税込。
指数 | 商品 | 信託報酬 |
ダウ30 | iFree NYダウ・インデックス | 0.243% |
S&P500 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968% |
こちらもS&P500の勝ち。
まとめると、
有名度はダウの勝ち。
リターンはダウの勝ち。
指数の安定度はS&P500の勝ち。
商品力はS&P500の勝ち。
ということになりました。(ぱたるバイアスも入っているのでご注意を)
「ダウとS&P500なんてどっちでもいい、気分の問題だ」ということが分かってもらえたでしょうか。
あえて強みの比較対象を探すと、
過去のリターン重視の人はダウ商品がおすすめ。
指数の安定度重視の人はS&P500がおすすめ。
分けるならこんな感じかな。
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