2018年は2~3月も下落しましたが、やはり下落のインパクトが大きかったのは10~12月。
10月3日の最高値から12月26日の最安値の騰落率は-19.9%。
特に12月の急落速度は、リーマンショックに勝るとも劣らない衝撃でしたね。
さて、そんな下落相場に強いとされる「ディフェンシブ銘柄」を選りすぐったのがHDVです。
いや、違うか、「高配当株」を選りすぐった結果、ディフェンシブ銘柄が多かったと言ったほうがいいでしょう。
そんなディフェンシブETFと言われているHDVは本当にディフェンシブだったのか?
きちんと下落を押しとどめてくれたのか?
調べてみたいと思います。
その前に、
『ディフェンシブ銘柄って何?』
という疑問があると思うので、一般論とぱたるの見解を説明します。
ディフェンシブ銘柄の定義が決まっているわけではありません。
しかし、以下のセクターに集中しています。
生活必需品
ヘルスケア
公益事業
この3セクターは、多くの格付け会社や金融サービス会社(JPモルガン、モーニングスター、MSCIなど)が、「ディフェンシブ・セクター」と認めています。
他には、
電気通信
エネルギー
を含めている会社もあり、境界はあいまいです。
電気通信セクターは、昨年コミュニケーション・サービスセクターと名称が変わり、該当する銘柄の移動もありました。
例えば、AT&Tやベライゾンはそのまま。
アルファベットやフェイスブックはテクノロジーから引越ししてきました。
グーグルをディフェンシブ銘柄と呼ぶ人はいないでしょうから、旧電気通信セクターをディフェンシブ・セクターとしてもいいかもしれません。
上記5セクターに該当し、かつ、株価が安定している銘柄がディフェンシブ銘柄と呼ばれています。
では、私がディフェンシブ・セクターと考えているのはどれかと言えば、
の以上5セクターになります。前項で挙がった全部ですね。
上の1番のほうがよりディフェンシブで、下の5番のほうは景気敏感株との境目にいます。
特に、エネルギーは最近の大幅な原油安により、とてもディフェンシブと呼べる代物ではありませんでしたが、過去の安定した実績からディフェンシブに入れました。(2019年に入ってから原油は上昇基調)
では、HDVの組入銘柄は、上記のディフェンシブ・セクターが入っているのか?
その比率は多いのか?
上記の順番どおり、生活必需品が多く、エネルギーが少ないのか?
そのあたりをチェックしてみましょう。
下のグラフは2018年の12月までのHDVのセクター比率です。
さきほど挙げたディフェンシブ・セクターが、上位に全て入っていますね。
私がディフェンシブ・セクターとして挙げた、
上記が全て高い比率で入っています。
特に、
エネルギー
生活必需品
ヘルスケア
の3セクターが圧倒的に多いのが分かります。
上記3セクターで全体の63.9%。
それに、
公益事業
通信(コミュニケーション・サービスに変わったが旧通信扱い)
の計5セクターを足したら、全体の79.5%と、多数がディフェンシブセクターで占められているのが分かります。
次に、私が考える、「よりディフェンシブなセクター順」と実際のHDVを比較してみます。
よりディフェンシブなセクター順 | 2018年のHDV組入上位セクター順 | ||
1 | 生活必需品 | 1 | エネルギー |
2 | ヘルスケア | 2 | 生活必需品 |
3 | 公益事業 | 3 | ヘルスケア |
4 | 通信 | 4 | 公益事業 |
5 | エネルギー | 5 | 通信 |
私が景気敏感セクターとの「境目」にいると思っているエネルギーが、HDVではトップ比率ですね。
では、エネルギーがトップではダメなのか?
これについては最後に触れたいと思います。
それ以外の順位はいい感じ。
「高い防御壁」で不況を押しとどめてくれそうな雰囲気を感じます。
長く引っぱりましたが、HDVは実際にディフェンスを頑張ってくれたのか?
2018年のチャートを見てみましょう。
比較するのは、
S&P500(VOO)
NASDAQ100(QQQ)
VOOは言わずと知れた王道指数のS&P500ETF。
それと、QQQはNASDAQの時価総額上位100社を集めたグロース株のETF。
「王道 VS 成長 VS 高配当」という図式での対決となります。
まずは10~12月のチャートから。
赤がHDV
青がS&P500
紫がNASDAQ100
赤のHDVは一番上のラインを保っていますね。
ま、当然だね。
次は7~12月の6ヶ月チャート。
さっきと同様に赤線は一番上にある。
だけど、結構下がってるんだよな~。12月に。
これはある程度理由は分かっています。
それは、10月からずっと原油安が続いており、組入1位のエクソンモービルと、4位のシェブロンが下がっていたからなんです。
しかも、その2銘柄だけでHDV全体のなんと14%も占めていたんです。(今もほぼ同じ)
このあたりが、全部で75銘柄しかないHDVの特徴でり、何百、何千と組入銘柄が多い他のETFとは大きく異なる点です。
最後に1年チャート。
ふむふむふむむ。
長期チャートでS&P500とNASDAQ100に勝てるとは思っていません。
だけど、12月の急落を押しとどめて、なだらかな線にしてほしかった!
くそー、原油に振り回されるエクソン君とシェブちゃんめ。
さて、では結論です。
・・・
・・・
残念ながら・・・
・・・
【結論】HDVの防御壁は普通に突破されていた!
となりました。
原油がどうとか言ったところですべて言い訳。
ちんちんにやっつけられたHDV。
HDVホルダーの私は悲しんでいるか?
実は、大して気にしていません。
なぜなら、私は「ディフェンシブETF」が欲しくてHDVを買っているのではなく、「高配当ETF」が魅力でHDVを買っているからです。
HDVはおまけ特典として、ディフェンシブな要素があり、過去にも他の指数が急落してマイナスになっているところを、涼しい顔をしてプラスになっていることは何度もありました。
なので、高配当でディフェンスしてくれることが多いHDVは「とてもバランスがいいETF」なんです。
エネルギーセクターは景気敏感セクターの境目だと言いましたが、それでもエクソンモービルの配当率は4.8%近くあるので、私のようなインカムゲイン投資家に必要な銘柄なんです。
・・・
それともう1つの高配当銘柄があります。
昨年の9月に外されてしまいましたが、今年の3月に「ヤツ」が復活すると信じています。
そう、驚異の配当率7%超え(!)のアイツです。
・・・
それは「AT&T」です!
ダメになったら即除外し、マシになったらすぐ元鞘に組み込む節操の無さが魅力のHDV。
HDVは銘柄入れ替えが多いと言われていますが、メイン銘柄はお馴染みさんがぐるぐる回っていることが多いんですね。
次回の入れ替えには、AT&Tが3位くらいに当たり前の顔をしてランクインしてそうです。(「今までいたけど何か?」的に)
12月はやられたけど、やはりバランスがいいHDVをこれからも私は買い増していきます。