「ストッパー毒島」はおすすめの野球漫画!野球ファンも、そうじゃない人にもおすすめ!
おすすめの野球漫画はストッパー毒島
実は私、野球は90年代にちょっと見ていたくらいの超軽いファンでした。そんな私が大好きで、おすすめしたい野球漫画が「ストッパー毒島」です。
全12巻と一気に読める短さもいいんですが、他にもおすすめポイントがありますので紹介していきましょう。
ストッパー毒島とは?
ストッパー毒島の作者はハロルド作石氏。有名な作品は「BECK」や「ゴリラーマン」など。
1996年からヤングマガジンで連載され、コミックスは全12巻出ています。読み方はストッパー「ぶすじま」です。「どくじま」ではありません。
ゴリラーマンが好きだった私は、「同じ作者なら面白いかな?」と、手に取りました。
90年代は「人気のセリーグ、実力のパリーグ」と言われており、パリーグはあまり人気がなかったんです。
ストッパー毒島はあえてそのパリーグを舞台にした漫画で、「京浜アスレチックス(架空の球団)」に入団した主人公と、イチローや古田敦也など、当時のプロ野球選手が実名で多く登場して絡み合うという、斬新な設定でした。(もちろん内容はフィクションです)
現存するパリーグ6球団+アスレチックス=7球団によるレギュラーシーズンの物語です。
ストッパー毒島のあらすじ
以下あらすじです。
身長191センチで、身体能力が抜群に高い高校生の毒島大広(ぶすじまたいこう)は、中学時代から野球のエースで活躍していたが、素行の悪さから高校の野球部には入部できず、さらに乱闘事件で高校を退学になってしまう。
そんな高校での登板機会ゼロの大広は、中学生の頃から彼に注目していたパ・リーグの弱小球団、「京浜アスレチックス」の小暮スカウトの策により、プロ野球のドラフト会議でアスレチックスから8位指名を受ける。
ノーコンだが剛速球が持ち味の大広は、チームのストッパー(抑え投手/クローザー)を志願し、「シーズン60セーブ」と「チームのリーグ優勝」を目指していく・・・。
この先はなるべくネタバレがないように書いていきますが、多少はネタバレも含まれますのでご注意を。
※注意 この先は多少ネタバレを含みます。
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各キャラが魅力的
主人公の大広が所属している京浜アスレチックスには、まともな人間はほぼいません。
二日酔いの抑えエースや、入団してすぐチアガールと性行為に及ぶキャプテン、顔がブサイクという理由で外されるスラッガーなど。
まともなのはキャッチャーの佐世保とサードの小野寺くらいかな。
上に挙げたものも含めて、一部のみですが紹介します。
京浜アスレチックスはあまりに不人気なため、オーナーは身売りを図るも、新しいオーナー候補は野球に興味がないおばさん。
1軍の片平監督はプライドばかり高くて人望も能力もない。2軍の三木監督は若手を育てるのは上手いが、あまりの高齢(昭和一桁生まれ)のため、試合中にしょっちゅう居眠りし、「恍惚の人」と呼ばれています。(後に1軍監督に昇格)
チームーリーダーの加瀬は女癖が悪く、入団した早々にチアガールと性行為を始めたり、親子関係の認知を求められて裁判を起こされたりしていますが、大事な場面でのリーダーシップは頼りになります。
ビル・ラズロックはメジャーで3度の首位打者に輝いた大物との触れ込みでしたが、46歳と高齢すぎてほとんど役に立たず、水野晴郎似の風貌から「ハルオ」(笑)の通称で呼ばれています。最後のほうでバントなど小技を決めて活躍しました。
セカンドの三条洋二は守備の名手。片平前監督とグラブさばきについて揉めて以降2軍暮らしでしたが、三木監督の孫は「プロ野球で見る価値のあるのはイチローと三条の守備だけ」とまで言わしめているほど。しかし打撃は並み以下。
【三条洋二】
ちなみに、三条洋二の顔は元プロレスラーの安生洋二が元ネタだと思います。安生はかつてLAのヒクソン・グレイシーの道場に行って、ヒクソンにボコボコにされました。格闘技に詳しいハロルド作石氏も、どこか滑稽な感じが漂う安生と三条を重ねたのかもしれません。
【安生洋二】
ショートの火野は、驚異的な長打力を持つ天性のホームラン・アーティストですが、顔が不細工だからという理由で片平前監督の構想から真っ先に外れた男。しかも口は常に半開き。
【火野勝】
ウェイク国吉はチーム一の努力家だが、過度の練習による疲労骨折や脱臼癖などにより、11年も日陰暮らしが続いていました。
しかし、その後ひょんなきっかけで外野手からピッチャーに転向。彼がペナントレース後半のキーマンになっていきます。
敵チーム含めて、魅力的な人間はまだまだたくさんいます。実在の選手の言動も「この場面ならこうなりそう」と思えて楽しいです。
イチロー対大広は面白かった!
「実際の松坂大輔選手」も続編があれば対戦を熱望していたとか。
ちなみに私のお気に入り選手は「キャッチャーの佐世保」
勝負強いバッティングで、チーム唯一のオールスターです。(代走のみだったが)
そして、あの大事な場面で、伝説のあのシーンが生まれます。
チックくんの謎
ストッパー毒島の、物語全体の核になる人物は3人。
主人公の毒島大広
主人公の兄の毒島貴志
そして、アスレチックスのマスコット「チックくん」です。
こちらがチックくん
上の真ん中にいる、犬のようなキツネのようなフォルムの物体がチックくんです。(実際はキツネをモチーフにしている)
チックくんはマスコットの着ぐるみを着ていますが、中身は投手から絶大な信頼を受けているピッチングコーチです。
こちらはウィキペディアより。
チックくん
試合の合間に行うやる気の感じられないダンス、マスコットにあるまじき無愛想ぶりにより、サイン会に誰も集まらないほど不人気のため、チーム売却が成立した際には別のマスコットへと交代させられる可能性もあった。
マスコットとしては全く役に立っていないが、中の人は野球に関する知識が深く、斉木にサイドスロー転向を勧め、毒島に投球フォームの修正などを施す。また、マスコットでは異例だが自らの声で話す。淡々とした喋り口で、常に冷静だがお茶目な一面も持ち合わせている。熱心且つ的確な指導により毒島、斉木、ウェイクなど、投手陣や三木監督からも絶大な信頼を置かれている。あの黒田でさえも不調時には教えを乞うことも。そのため不在時には投手陣が浮き足立つこともある。さらに野手の本上や、諸事情により打席に立つこととなった毒島に打撃アドバイスを送っており、投球のみならず野球全般に精通している。
(中略)
1997年は監督を引き受けるよう依頼されるが拒否、三木の要望で着ぐるみのまま投手コーチに就任することになる。就任後は毒島にコントロール矯正や変化球習得を教え込み、ウェイク国吉を○○○○○○○○として○○させた。チームマスコットとしては史上初の退場処分(審判への侮辱行為として)を下されたこともある。
(中略)
出典:Wikipedia
中の人は元アスレチックスのドラフト1位投手「三宅武」ということになっていますが、物語途中で三宅は○○○○○○○○ことが明らかになります。
一部ネタバレなので伏字にしています。
チックくんなしには、大広はもちろん、他のメンバーも活躍できていません。
見た目は異様なのにお茶目な面があり、指導力でチームを引っぱっていくけど謎だらけのチックくんの存在が、作品にミステリー要素と深みを与えています。
独特の笑い
ストッパー毒島はギャグ漫画ではありませんが、随所にシュールな笑いを放り込んできます。
ゴリラーマンもそうですが、ハロルド作石氏には独自の世界観があり、慣れてくるとじわじわ効いていきます。
それと、実在の選手や監督絡みも面白い。例えば、大広がヤクルトの入団テストで書類に「PL学園卒業、NTT関東入社」とか書いて、野村監督から「こういうみえみえのウソはやめとけ!」と言われるシーンなど、「この人だったらこういうこと言いそう」という描写が絶妙です。
チーム力で勝っていく
スポーツ漫画には、主人公がヒーローだったりリーダーだったりして周りを引っぱる「キャプテン翼系」と、不器用な脇役の主人公がガッツを見せて周りを巻き込んでいく「スラムダンク系」がありますが、ストッパー毒島は「スラムダンク系」です。
何せ大広はストッパー(抑え投手/クローザー)なので、味方が活躍して勝っている状態じゃないと登板しません。
主人公は最後の短い時間に活躍するだけで、メインは他のチームメイトなんです。
20連敗後に監督と選手を入れ替えて、チームメイトが少しずつレベルアップしながら連勝をしていくあたりは、まさにスポーツ漫画の醍醐味です。
そして、最終戦ダブルヘッダーの試合で物語はクライマックスへ。
画力が高い
画力が高いのもこの作品の魅力です。
格闘技にも詳しいハロルド作石氏は、人の動き、筋肉の躍動感、そのときの服がどのような形になるか、その洞察と表現力に優れています。
こちらは、あのシーンでの佐世保のやや半身の後姿。
広背筋の発達はもちろん、特に大臀筋(お尻)とハムストリングスの盛り上がりがリアルです。
細身系じゃない場合、野球選手の特徴って盛り上がった下半身なんですよね。
私は子供の頃プロレスが好きで、機会があれば見に行っていましたが、あるホテルで西武時代の清原を見たとき、「ケツのでかさがレスラーと同じかそれ以上だ!」と興奮したのを覚えています。(清原は大胸筋もすごかった)
あと、大広の投球フォームも好き。あれはメジャーの選手を参考にしたのかな。
【大広の投球フォーム】
魔球や必殺技がなく、リアルな野球漫画
大リーグボール1号(古い)やスカイラブハリケーン(古い)など、スポーツ漫画に欠かせないのが「必殺技」です。
しかしストッパー毒島にはありえない必殺技はなく、ありそうな変化球が描かれるだけです。特に大広がまともに投げられる唯一の変化球「ブスジマ・チェンジ」は、松坂大輔選手も試そうとしたらしいです。(本当に投げようとしたが、習得まではできなかった)
大広は160kmオーバーの速球が投げられる設定ですが、90年代当時は日本人で伊良部秀輝選手の158kmが最速だったので、多少大目の設定ではありましたが、不可能な数字ではありません。現在は大谷選手が160km以上投げてますし。
私はそれほど野球に詳しくありませんでしたが、「きっとこれが本物の野球漫画だ!」と思って見ていました。
ライバルは兄
物語全体の核になる3人の人物のもう1人が、大広の兄である毒島貴志で、大広のライバルです。
このキャラはね、ほんとカッコイイんだ!
まあ、漫画の主人公のライバルは「強く、カッコよく」書くのがセオリーではあるけど。
【毒島貴志(千葉ロッテマリーンズの外野手)】
貴志は顔も大広よりハンサム。
こちらはウィキペディアより。
毒島 貴志(ぶすじま たかし)
背番号7、左投げ左打ち、千葉ロッテマリーンズの外野手。
主人公・毒島大広の実兄。劇中で木暮スカウトが「和製バリー・ボンズ」と称し、ケガをしなかったらメジャーでトリプルスリー(3割・30本・30盗塁)を軽くクリアする逸材と評価する天才。
リトルリーグで世界制覇の経験があり、高校卒業後渡米しマイナーリーグへ入団するが、交通事故で瀕死の重傷を負いメキシコシティ・ソリタリオへ移籍。メキシコでのリハビリ中には、○○○○○○○○○○○○至るも思いとどまり、1996年のドラフト3位でロッテに入団。実は木暮は大広よりもこの貴志を獲ろうとしていた。
指名された当初はロッテ入団にあまり乗り気ではない様子だったが、弟・大広と再会し、1球勝負をする。そこで大広が投げた球に対抗心を燃やし、リハビリに励み驚異的とも言える回復を果たす。
(中略)
2軍デビュー戦では大怪我から野球ができるまでに復帰できたことに感謝して、1球もバットを振らず見逃し三振を繰り返した。その際、近藤監督からは「佇まいはすでに1流」と評される。
1軍デビュー戦の近鉄戦では○○○○○○○○○○○○○○○○○○○デビューを飾る。弟・大広に変化球で抑えられた試合では悔しさからか、2軍に落としてほしいと直訴して降格。その後、納得した一打が出るまで髭を剃らないと決めるも、安打や本塁打を打っても納得せず、髭を剃らず伸ばし続けていた。
○○○○○○○○○に髭を剃り落とす。これは「納得できる一打を打てそう」と感じたため。その相手は○○であり、○○○○○○○○○○○○○○○○○○となった。
(中略)
兄弟仲はかなり険悪。「弟(大広)が勝手に嫌っているだけ」と語っているが、幼少時代には大広を苛めたり、プロ入りしてからも大広から本塁打を放った際に「嫌いな奴からイッパツ打つのは気分いいね」と呟くなど、見下しているような言動が見受けられる。チック君の中の人物が誰かを知っている様子。
(中略)
出典:Wikipedia
一部ネタバレなので伏字にしています。
チックくんの存在は物語に深みを与えていますが、それは貴志も同様です。
単純に、強いライバルがいるから主人公が引き立つ、という効果ももちろんあるんですが、2人の関係性と作中には出てこない「父親」との関係性にほんの少しだけ含みを持たせているのです。
大広は幼い頃いじめられっ子でした。一方兄はリトルリーグで世界制覇した秀才。はっきりとした描写はされていませんが、多分大広は貴志に対してコンプレックスを持っていたはずです。
それなのに、エリートの貴志は大広を苛め、大人になってからもライバル心を持っている気がします。大広からホームランを打った貴志は、「嫌いな奴からイッパツ打つのは気分いいね」と言っています。
想像(妄想)ですが、あの人は実は○○で、貴志はその人からあまり愛情を受けなかったため、愛情を受けていたと感じた大広に嫉妬したんじゃないだろうか?(伏字や指示語でよく分からないよね(笑)スマン)
貴志はとっつきにくいキャラですが、チームメイトから嫌われているわけではありません。大広だけを嫌っているようですが、大広自身はそこまで貴志を嫌っている描写はありません。ただ、苦手な感じなのかな。(幼少の思い出もあるし)
それらを加味するとあれがあれなのはありえると思うんだけどな。(そう言われても分かんないよね)
ヒロインがカワイイ
本作のヒロインの宮道 貴恵は、ナチュラルなかわいさが魅力です。
タッチの浅倉南など、男子から見たらかわいいけど、同姓のシビアな女子から見たら、「は? 何それ? 作ってんの?」みたいな、偽天然のような、ウソっぽい、わざとらしいヒロインは少年誌でよくいます。(個人の主観なのでファンの人はゴメンなさい)
貴恵はそういう感じはありません。サバサバしているとも言えますが、現実にいそうなカワイイ子っていう感じで好感が持てます。
顔もものスゴイ美人というより、個性的なかわいさです。
【ヒロインの宮道貴恵】
【別のコマ】
あれ? かなり美人だな。どっちかはアシスタントが書いたのか?
こちらはウィキペディアより。
宮道 貴恵(みやみち たかえ)
毒島の幼馴染で、腐れ縁の仲。毒島のよき理解者であり、プロ入り後はアスレチックスファンとして球場に足を運び、2年足らずで毒島に立花、広橋、行沢のサインを貰うよう頼むほど渋い野球ファンになっている。当初は清水のファンだと言っていたが本心は不明。毒島からはプロ初勝利を挙げたボールを贈られたり、互いに好意を抱いている様子。
出典:Wikipedia
貴恵は、幼いころ同世代で誰からも相手にされなかった大広と遊んであげていた、とてもいいやつです。
大広から贈られたプロ初勝利のボールを見て嬉しそうにしていますが、それ以上の恋愛シーンはあまりありません。
スラムダンクもそうですが、恋愛要素がほんの少しだけしかないのも、作品のリズムが変に中だるみしない要因になっているかもしれません。
名(迷)シーンが印象的
ふざけたシーン、胸熱なシーンなど、印象的なシーンはたくさんあります。
三条の守備のスーパープレイもすごいけど、バントを失敗した次の日に、あの性格なのに、あそこで○○しちゃうなんて。
小野寺のあのときの盗塁も熱かったな~。「お前そこでするか!」と。
ただ、一番の名シーンと言ったら「佐世保の○○で○○○○○○○○○○」しかないでしょう。
伏字なのが残念ですが、他の漫画で匹敵するシーンは、
- 「シュート!」の久保の奇跡の11人抜き
- 「スラムダンク」の山王戦で花道がルーズボールへのダイブ(背中の怪我をした)
- 「あしたのジョー」でホセ戦後、ジョーが椅子に座って微笑んでいる(死んだのか?)
これと同じくらい好きなシーンですね。(と言ってもここ10年くらいの新作(?)のチェックはあまりできてないが)
・・・
この先はもうおすすめ情報はありません。
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佐世保よ、お前○○を押してきて、○○のこの場面で、○○○○○を○○か!
リアルさとエンターテイメントが詰まった野球漫画「ストッパー毒島」はホントおすすめです。