先週12月26日の米国株相場は「驚上げ」の展開でした。
2018年、最後の取引となった12月31日もダウ30は1%を超える上昇。
S&P500も1%弱の上昇。
先週末には米中首脳が電話会談し、「休戦中」の通商合意に向かうと見られたことが好感されたようです。
こうして、2018年最後の米国株相場は続伸して閉場。
2019年に向けて、希望を感じた人も多かったかもしれません。
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こんなときに目を背けがちなのが「含み損」
個別株をやっている人であれば、マイナス30%以上になっている銘柄もあるかも。
相場は少し上がっているとは言え、まだまだ予断を許さない状況が続くと思います。
どんな状況であれ、インデックス投資のETFや投資信託は、基本的にバイ&ホールドでいいでしょう。
しかし、個別株は違います。
少し上がり目のこんな時だからこそ、「損切り」を考えるいいタイミングなんです。
さて、少し上がったとは言え、10月上旬からの下落によって、S&P500の最大落差は-20%に達しています。
個別株ならもっと下がっている銘柄もあるでしょう。
特に、
ハイテク株
景気敏感株
このあたりの個別株は焼け野原に近い状態です。
ここで取りうる選択肢は、
「損切りする」
「何もしない」
となるわけですが、「何もしない」の中には2種類の決断に分かれます。
「何もしない」
⇒ ① 冷静に考えた結果、損切りする必要がない。
⇒ ② 頭の片隅では損切りしたほうがいいと思いつつ実行できない。
ポイントは②です。
頭で分かっていても、感情が損切りを拒否している状態です。
これは、
「損したくない」
「負けを認めると自分が惨めになるから、自尊心が耐えられない」
こういった感情が優先されるため、
「持っていればおそらく上がるだろう。だって自分が選んだ銘柄だもの、間違いないんだ」
というように、自分の都合のいいように、頭にある理論のノートを、感情が勝手に書き換えていきます。
このデータの上書きを防ぐには、2つの方法があります。
① ネガティブな感情に打ち勝つポジティブな感情を見出す。
② ネガティブな感情に打ち勝つ理論で上書きを防ぐ。
今回は、②の「ネガティブな感情に打ち勝つ理論で上書きを防ぐ」を考えてみます。
「損したくない」
これは、感情の中でも「中ボス」並の手強さです。
ポジティブな感情は軒並みやられるでしょう。
例えば、①のように自ら奮い立たせようとして、
「損切りしたほうが気持ちがすっきりするよ!」とか、
「損切りすれば前に進める!」とか、
「今損切りしないともっとひどいことになるぞ!」など。
このようにポジティブな感情をぶつけてみても、シールドが張ってあるが如く、ことごとく跳ね返されるでしょう。
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「損したくない」
こいつに勝つには「感情」ではなく「理論」です。
つまり、「損したくない」に勝つには「実は得もあるよ」で対抗します。
さて、「ネガティブな感情に打ち勝つ理論で上書きを防ぐ」とは具体的になんなのか?
それは、損切りには含み損で動かない金=死に金があり、その死に金を使って新たな銘柄を買えるメリットがあることなんです。
『ふーん、たったそれっぽっちのメリットなの?』
と思う無かれ。
例えばあなたが100万円分(株価10,000円×100口)でA株を買ったとします。
急落がきて、株価は7,000円になりました。3割減です。
ここで、「悔しいから動かない」となると、70,00円×100口=70万円分が死に金として漂うことになります。
『配当目当てだからそれでもいいんだよ』
という場合もあるでしょう。
私も、苦しいときでも高い配当が出るので、HDVをメインにしているんです。
しかし、それは死に銘柄が自動で入れ替わるETFだからできること。
個別株では入れ替えるには売るしかありません。
『し、塩漬けになったって、配当が出ればそれでいいんだよ。そ、そうさ・・・いいのさ、きっと・・・』
と言う人もいるでしょう。
でも、その銘柄は塩漬けにするつもりで買ったわけではないでしょう?
「緩やかでも株価が上昇し、かつ、配当金を得る目的」で買ったのではないですか?
つまり、当初の目的通りに事が進んでないのに、「損したくない」という感情が優先し、損切りしない理由を探しているだけなんです。
私も普段そうです。
何か新しいこと、特に嫌なことを始める時は「やらない理由を探すもの」なんです。
例えば、あなたがGE(ゼネラル・エレクトリック)株を持っていたとします。
多分持ってない人が多いでしょうから、逆に冷静に考えられると思うので、想像してみてください。
・・・
GEはかつての隆盛は影を潜め、ベスト塩漬け株大賞をゲットする勢いです。
確かに、GEの株価がV字回復する可能性はゼロではありません。
しかし、回復すると本気で思って保有しているのではないでしょう。
客観的な根拠があるのではなく、あなたが「回復して欲しい」とただ願っているだけなんです。
では、改めて自分の保有銘柄を考えてみましょう。
その中にマイナス20%の含み損を超えている銘柄がある場合、その銘柄が上がる根拠は何かあるんでしょうか?
GEと違う具体的な根拠はありますか?
あるならOK。そのままでいいでしょう。
ないなら、「回復して欲しい」とただ願っているだけなんです。
損切りのメリットは、損失の拡大を防ぐことだけ、と思われがちですが、死に金を生き金に使えることがメリットです。
100の資金が70に減れば悲しいです。
しかし、50に減る前に「70も」ある資金を眠らせておくのは「もったいない」です。
体力が奪われた状態では逆転パンチも打てません。
「70も」あるうちに「逆転株」を買えると思ったら少しワクワクしませんか?
損切りには、含み損で動かない死に金を使って、新たな銘柄を買えるメリットがあることを説明しました。
それは間違ってないんですが、もっと根本的なメリットであり、大切なことは「市場から退場しないこと」なんです。
『何を大げさな』
と思う人がいるかもしれませんね。
投資額が少ない人はそれでもいいかもしれません。
会社員で給与を貰い、貯金をすればまた立て直しはできます。
ただ、投資額が多い人は別です。
一般的な感覚だと「1,000万円以上」かな。特に3,000万円超えると別世界です。
投資額がすでに多い人は、負けた=退場。
つまり、人生100年時代を迎えるための、ライフプランの変更を余儀なくされることになるんです。
『損切り!?考えたくない!(プルプルプル!)』
とやらない理由を探すのではなく、
『この金で逆転株を買える!』
と考えてみてはどうでしょう?
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週末12月21日、米国主要株価指数の終値は、 S&P 5002,416.58-50.84(-2.06%) Dow 3022,445.37-414.23(-1.81%) Nasdaq6,332.99-195.41(-2.99%) いずれも大きく下げていますね。3日連続で下げていますが、1回1回の下げが大きい。 今日はハイテクが大きく下げたので、NASDAQが-2.99%と大幅下落。 S&P500は18ヶ月ぶりの安値調べてみたら、S&P500は2017年6月以来、18ヶ月ぶりの安値をつけました。 米国株投資家にとって、この3日間の心理的なインパクトは大きいのではないでしょうか。&... 個別株は勇気を出して損切りすると、2回目が楽になる - 2024年にFIREするぱたるの米国株ブログ |