「東証プレミアム市場のファンド(投資信託やETF)が出たら即買いか?」
結論から言うと、内容が骨抜きになっていたり、コストが割高になっていたりしなければ、私は買うと思います。
東証プレミアム市場とは、東証一部の「上場と降格の基準を厳格化」して、東証二部やジャスダック、マザーズを含めて、日本の株式市場を再編する計画のトップに位置する新市場です。
説明より図で見たほうが分かりやすいと思います。こちらは毎日新聞のサイトから。
図の右上が「プレミアム市場」です。
出典:毎日新聞サイトより
スポーツ界や動物界はもちろん、株式市場でも、グループ内のトップは本来一握りで、その下にピラミッド型で中層、低層と数が増えていくのが普通です。
しかし、図の左上の東証一部は2128社もあるのに、その下の市場は数百社ずつが並んでおり「逆ピラミッド」状態になっています。
真のエリートだけが東証一部を名乗れているかと思いきや、一部上場の基準が甘く、特に業績やガバナンスが悪くても降格しないことを問題として、有識者による再編が検討されています。
それが、図の右側にあたる、
最上位 プレミアム市場
中堅 スタンダード市場
新興 エントリー市場
の3市場に再編する案が出ています。
さて、では東証プレミアム市場=真のエリートに入れる基準は何か?
これはいくつか案が出ているようですが、例えば時価総額を「1000億円」や「500億円」のラインで分ける案が出ています。
こちらの図のように。
出典:マネーポストWEBより
例えば、上図の真ん中あたりに「1000億円の壁」と書いています。
仮にこれが採用されたら、「日医工はプレミアム」に、「昭和産業はスタンダード」になるわけです。
昭和産業はもちろん、その下の企業は当然大反対するでしょう。東証一部を名乗れなくなったら、営業にも人材採用にも大きく影響します。
以下は、1000億円・500億円の壁で区切った場合の、現在の一部上場企業(2128社)の降格数です。
1000億円の壁 ⇒ 約7割にあたる1400社が降格
500億円の壁 ⇒ 約5割にあたる1100社が降格
1400社が降格したら、全2128 – 1400 = 残り728社か。
時価総額ベースでは、インフレや為替変動で価値が曖昧になってしまう。
いっそ、S&P500を倣って500社で切ってくれたら分かりやすくていいな。名前はTP500とか。(東証プレミアム500)
海外投資家からは「分かりやすい」って良い評価されると思うな。
東証プレミアムファンド(仮称)はまだ出来てないので、良し悪しは不明ですが、過去に期待されて出来たものの、イマイチの評価の新指数があります。
それは、JPX日経インデックス400。
JPX日経インデックス400指数は2014年にスタートしましたが、全然魅力的に育っていません。今年の8月にまた銘柄入れ替えはするでしょうが、大して期待はできないでしょう。(スマートベータの設定が根本的に悪いのだと思う)
もっと魅力的な日本の株価指数があれば、ETFであれ、投資信託であれ、もっと資金を入れられるのにな。
まだ商品化されていない東証プレミアム・ファンド(仮称)に期待しちゃうけど、さて、どうなるやら。
あの会社から「eMAXIS Slim 国内株式(東証プレミアム市場)」がリリースされる日が来るかな。
改めて、プレミアム市場を1000億円の壁、500億円の壁で区切った場合の、現在の一部上場企業(2128社)の降格数を見てみましょう。
1000億円の壁 ⇒ 約7割にあたる1400社が降格
500億円の壁 ⇒ 約5割にあたる1100社が降格
現在、足切りされるかもしれない企業からの大反対により、壁は500億円どころか、現在の上場基準である250億円などの案も出ているようです。
まあ、気持ちは分かります。
人は持ってないものを渡された時の喜びのエネルギーより、失くした時の憤りのほうがはるかに強いエネルギーが働くものです。
そうなると、焦点は「降格基準の厳格化」になるのか。
ちなみに、250億円を足切りラインにしても、約3割にあたる300社が降格するようです。
こちらでも詳しく説明されていますが、東証は内部管理体制の維持・強化をしながら、「適切な昇格」に向けた行動を促進するとしています。
一方、経産省は、預金ではなく投資によるマネーの供給が不可欠であるが、東証では低PBR・低生産性のまま上場を続けている企業が多いく、新陳代謝が進んでいないことを問題視しているようです。つまり、「適切な降格=退場」を進めたいんだと思います。
微妙に思惑が異なる両者。
2019年3月末に公表する予定の、東証の報告書はまだ出ていないようです。
今回の有識者会議を含めて、この問題のリーダーシップがどこにあるかよく分かりません。
なんとなくですが、強いリーダーシップは今のところ感じられないので、日本人が得意の「折衷案=骨抜き案」でスタートするような気もしています。
雰囲気的には経産省が「日本人の個人投資家寄りのスタンス」っぽく感じるので、応援したいぞ。私が何が出来るわけでもないが。
さて、「東証プレミアム市場のファンド(投資信託やETF)が出たら即買いか?」の答えですが、私は、仮に多少骨抜き案でも低コストなら、少ない資金から投資信託を始めてみたいですね。
私の思い違いかもしれませんが、現在の日本市場は、外国人投資家による短期売買の狩場だと思っており、私は自信を持って日本株の長期投資に取り組めていません。
現在の私のアセットアロケーションは97%ほど米国株(ETF)です。
しかし、別に米国株投資家になったつもりはなく、良い投資先があるなら、いつでもインドだろうがインドネシアだろうが日本だろうが投資したいと考えています。
特に、日本株は為替変動リスクが低いので、本当は積極的にアセットアロケーションに組み込みたいと思っています。
その考えの下、プレミアム市場的概念のファンドがあれば、少ない資金から手を出していくのは自然なことです。
投資に限らずすべての事柄に言えることかもしれませんが、あまり「100か0か」の決め付けは良くないと考えています。視野が狭くなっちゃうからね。
東証プレミアムファンド(仮称)を私は買ってみたいと言いましたが、だからと言って人におすすめできるものではありません。
なぜって、まだないから。(当たり前だ)
それと、仮に足切りが500社で、「東証プレミアム500」みたいなすごそうなファンドになったとしても、アメリカのS&P500みたいな右肩上がりになるとも思えません。過去チャートで再現したとしても。
それに、500社どころか2千数百社がほとんど残るような、骨粗しょう症状態のスカスカ骨抜きファンドになる可能性も十分あります。
いずれにしても、ファンドが出た直後に慌てて買わず、少し立ち止まってみるのをおすすめします。
妄想かもしれませんが、仮に骨抜き案から始まっても、こんな流れが起きてプレミアムが本物になるかも。
国内の反対派から足切りの反発が大きい
↓
しょうがなく骨抜き案でスタート
↓
海外、特にアメリカから「投資家目線でない」と非難の嵐
↓
外圧を利用して、より絞った線引きに改正
こんなことがいつか起こるかも。
日銀は日本株ETFを買いまくっています。
先日、「日銀は2020年末にも、日本株の最大株主になって公的年金も上回る」というニュースが流れていました。
う~ん、いびつだぞ。
2018年はTOPIXを中心に約3分の2の約4兆円、残り3分の1の約2兆円を日経平均、JPX日経インデックス400の3指数に連動するETFを対象に、銘柄ごとの時価総額におおむね比例するように買い入れているようです。(合計6兆円)
プレミアム・ファンド(仮称)が出来たらこの比率も変わるか。
現在の一部上場基準から、足切りラインを1000億円の壁で分けた場合、1400社が降格します。
その1400社には4兆円は回らないってことか。(3分の1の資金の中の一部は回るでしょうが)
これはえらいことだぞ。
プレミアム・ファンド(仮称)が出来たらプレミアム銘柄には買いが入り、スタンダード銘柄には売りが入るでしょう。一時的かもしれませんが。
もう一度、プレミアム市場の足切りラインの図を見てみましょう。
この図だと1000億円の壁で分けた場合、「昭和産業以下はスタンダード」になるわけです。(順位は変わる可能性があります)
500億円だとダブル・スコープが落とされる。
基本的に、「買いはじわじわ」上がり、「売りはストン」と下がるものです。
ということは信用取引で売りを仕掛けるチャンスか?
・・・
(じゅるじゅるっ)あ、よだれが(笑)
なんてね、私はやらないかな。
FXやCFD以外で売りから仕掛けたことがないので、慣れていないということもありますが、それは1~2回、超短時間決済で試せば感覚はつかめます。だからやることはできます。
ただ、実際にどの銘柄がどのくらい下がるか全然読めず、そのあたりの売買経験がないため、見(けん)にまわるのが吉かと。
ラインぎりぎり上の銘柄の買いという手もありますが、それも同様にやらないでしょう。
実際に大きく売り買いが始まったときに、他のブログや掲示板、ツイッターなどを見て、
「あ~、やっぱり○○売っておけば良かった~」
とか、
「ふー、あっぶねー! つかまされるとこだったわ!」
なんて、1人で楽しもうかと思っています(笑)