最近一部のブログで広がり始めたグローバル3倍3分法ファンドは、一言で言うと「最強の矛と最強の盾」の可能性があるレバレッジファンドです。(投資信託)
レバレッジファンドで有名なのは、S&P500の3倍リターンを目指す「SPXL」ですが、グローバル3倍3分法ファンドは、
債券 200%
株式 60%
REIT 40%
合計300%の「分散レバレッジファンド」です。
2018年10月に設定されたばかりの新しいファンドなので、長期の比較はできませんが、以下S&P500連動のiFree S&P500インデックスと比較したチャートです。
オレンジ : グローバル3倍3分法ファンド
青 : S&P500
昨年末のあの大幅下落も最小限で耐えている。
期間は短いですが、良さげな可能性を感じませんか?
このファンドのコンセプトを分かりやすく言うと、株式とREITに3倍レバレッジをかけて「攻撃力」を徹底的に上げる。
しかしそれだけでは、下落時やレンジ相場に弱い欠点がある。
だから、3分の2を占める債券にも3倍レバレッジをかけ、「鉄壁の守備力」も手に入れちゃおう、っていうコンセプトなんです。
もっと分かりやすく言うと、3倍スクルトをかけ、さらに3倍バイキルトをかけるようなものです。(プロテスやブレイブに置き換えても可)
次は画像で見てみましょう。
レバレッジをかけない1倍だとこうなります。
60~70代の資産家が好みそうな、大人しいアセットアロケーションですね。
それがグローバル3倍3分法ファンドだとこうなります。
3者お互いの比率は同じなのに、何か重厚感のようなものを感じませんか?
画像にも書いていますがそれぞれ簡単に紹介しましょう。
まずは全体の200%と3分の2を占める債権から。
【先進5カ国の国債】
日本 40%
米国 40%
ドイツ 40%
イギリス 40%
豪州 40%
上記、先進5カ国の均等割りで合計200%。
ボラティリティ(値動きの幅)を抑え、株式との逆相関も期待できますね。
それが全体の3分の2を占める200%もあるところがこのファンドのユニークな点と言えるでしょう。
サッカーでいえば、11人中7人がディフェンダーのようなものです。
点は入れさせないぜ。
次に比率が多いのが株式。
【3地域の株式】
日本 20%
先進国 20%
新興国 20%
分かりやすいバランスですね。
ポートフォリオの内訳はこちら。
海外株はMSCIの指数が使われているようです。
日本は何だろう?「国内の株価指数」と書いているので、おそらく日経平均かTOPIXでしょう。
サッカーでいえば11人中2人分のストライカー。
カール・ハインツ・シュナイダーと日向小次郎がそれぞれドーピングして、ポートフォリオに入っていると思ってください。
最後はREITです。
REIT(リート)とは、Real Estate Investment Trustの略で、不動産専門の投資信託です。
【2地域のREIT】
日本 20%
先進国 20%
先ほどと同じ図ですが、内訳はこちら。
サッカーでいえば・・・
もういいだろう。
実は、グローバル3倍3分法ファンドには、
1年決算型
隔月分配型
の2種類があります。
以下、ファンドの基本情報です。(括弧内は隔月分配型で、表記なしの場合は同じ)
名称 : グローバル3倍3分法ファンド
信託報酬 : 0.4752%
設定日 : 2018年10月4日
償還日 : 2028年9月21日
純資産額 : 6.45億円(1.70億円)
決算日 : 9月21日(奇数月21日)
運用会社 : 日興アセットマネジメント株式会社
指数 : 全体のベンチマークはなし
運用方針 : 主に「グローバル3倍3分法ファンド(適格機関投資家向け)」を通じて、世界(日本含む)の資産(株式、REIT、債券)などに分散投資を行う。世界の株式やREITなどの現物の組入総額と、株価指数先物取引や国債先物取引の買建総額の組入合計額が、純資産総額の3倍相当額になるように投資する。原則、為替ヘッジを行わない。
・・・
信託報酬は0.4752%と意外に高くない。
しかし目を引くのは、償還日が2028年9月21日と残り10年を切っている点です。
償還日とは、ファンド運用の満期日のことです。つまりそこで強制的に解約になるわけです。
最近の多くの人気ファンドはほぼ「無期限」の運用ですが、このファンドは10年で終わり。
定期預金のように、満期のタイミングで100%プラスになる保証は無い。
償還日が延長になることもありますが、延長しない場合は償還日が近づくにつれ、売却が増え、価格は下がりやすくなります。
ここがこのファンドの良し悪しを判断する大きなポイントです。
だって、長期投資とは最低で10~15年なのに、長期投資を基本とする投資信託が10年で終わりなんて、美味しそうなフレンチのフルコースを10分で食べるかどうか考えるようなものです。
食えるんだろうけど満足できるのか?みたいな。
運用会社の意図は何なんだ?
人気がないのを見越している? まさかね。日興アセットマネジメントに聞いてみようかな。
あと、隔月分配型の純資産が増えてないのもマイナスポイント。
少し迷いましたが、私は少額ながらこのファンドを積み立てていくことにしました。(1年決算型を)
理由は、リターンの懸念材料は以下の2つで、
日本 20%
新興国 20%
上記はリターンを押し下げるかも。
ただ、300%の内の40%なら、全体の13.3%の比率でそこまで高くありません。
それと積み立てようと思った一番の理由は「面白そうだから」
運用が5年だったらやりませんが、10年あればぎりぎりOK。(延長の発表がなければ実質9年ほどか)
それで、レバレッジをかけつつ、守りも固いならやる価値があると。
理想は、eMAXIS Slimシリーズで償還無期限のファンドが出てくれればいいんだけどね。
正直、多くの人におすすめできるファンドではありませんが、守りが固くなったSPXLと思えばワクワクしませんか?
下はSPXLの5年チャート。
赤がSPXL
青がS&P500
昨年末にガツンと下がっていますが、こういうのがもしグローバル3倍なら、なだらかに、かつググンと右肩上がりになったら面白くないかい?
$$$
※ 2月19日追記 「なぜ10年で償還するのか?日興アセットマネジメント株式会社に聞いてみた」
上記を電話で聞いたところ、『最近設定したファンドの多くは、5年や10年の償還設定日を設けていることが多いですね』とのこと。
はっきりとした理由は分からないそうです。
ただ、償還日を延長することも珍しくなく、その場合は遅くても償還の1年前には通知するとのこと。
「グローバル3倍3分法ファンドが償還延長しない条件はあるか?」の問いには、
『目論見書に書いていますが・・・』と説明してくれて、よく見ると記載がありました。
以下、目論見書の繰上償還の項目
次のいずれかの場合等には、繰上償還することがあります。
・ファンドの純資産総額が10億円を下回ることとなった場合
・繰上償還することが受益者のために有利であると認めるとき
・やむを得ない事情が発生したとき
『10億円を下回っても継続の可能性はありますが・・・』と丁寧に説明してくれました。
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