SPYDを米国ETFの高配当戦略に入れてもいい理由(VYM・HDV比較)
当ブログでは個別株の投資は推奨していません。
ですので、「高配当戦略」とはETF限定の話になります。
過去記事 ETFを推奨する理由
それで今回、高配当ETFである「SPYD(SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式)」をポートフォリオに入れるか否か、昨年(2018年)より検討していました。
順を追って説明します。
PFFを積極的に買い増すつもりだったが・・・
私のポートフォリオは、
HDV :36%
PFF: 31%
VYM: 9%
以上、3つの高配当ETFで、全体の76%を占めています。
今後も上記の順番か、むしろ「PFFを積極的に買い増そう」と思ってました。
なぜなら、PFFはターボチャージャー効果があるからなんです。
過去記事 PFFのターボチャージャー効果
「2019年もPFFを買い増そう」と思ってました。
そう、昨年の10月ごろまでは・・・。
PFFの価格は10月、12月の利上げにより低下
しかし、10月、12月の利上げにより米国債へ資金が流出。
相対的に、高配当だったPFFの優位性が薄れていったのです。
下は2008年から2018年までのPFFのチャートです。
左のほう、2008年の大きな落ち込みはリーマンショック時。
その後、2015年のチャイナショックなどで多少の上下はあれど、ここ6、7年の価格は安定していました。
しかし、10月の利上げにより10日間で-3.8%も下落。
そして12月。再びの利上げでさらに落ち込み、リーマンショック後の最安値を更新しました。(緑のラインを下回った)
関連記事
今後のPFFの見通し
2019年の利上げは0~1回の気配が漂っています。
しかし、だからと言って、今後のPFFの見通しがはっきり分かっているわけではありません。
過去5、6年のPFFの平均価格は「38ドル」くらいだった。
そして、12月の最安値は「33ドル台半ば」
現在は、「35ドル台前半」
であれば今年は「36ドル台」を見込めばいいのだろうか・・・?
それとも、徐々に下がっていくんだろうか・・・?
・・・
PFFは今でも高配当なのは変わりません。
私も買うのを止めたわけではなく、売る気も全くありませんが、「積極的に買わない方針」に転換しようと思ったのです。
作戦で言うと、
「ガンガンいこうぜ」
↓
「じゅもんをせつやく」 or 「いのちだいじに」
こうなった感じ。
代わりのターボチャージャーはどうする?
PFFはフェードアウト。
では代わりのターボチャージャーをどうするか?
・・・
個別株なら配当10%以上とかの株があります。
一見「ワォ」と思いますが、ゴミクズに等しい株しかないので論外。
最近までずっとHDVに組み入れられていた「AT&T」は、驚異の7%超えの配当率です。
しかし、やはり個別株はデメリットが大きすぎるのでパス。
・・・
そこで検討したのが「SPYD」だったんです。
主要な高配当ETF一覧
以下は主要な高配当ETFの一覧です。(配当率の高い順)
ETF | 配当率 | 経費率 | 配当回数 |
PFF | 6.31 | 0.47 | 毎月 |
SPYD | 4.14 | 0.07 | 年4回 |
DHS | 3.75 | 0.38 | 毎月 |
HDV | 3.67 | 0.08 | 年4回 |
VYM | 3.40 | 0.08 | 年4回 |
DVY | 3.31 | 0.39 | 年4回 |
DLN | 2.90 | 0.28 | 年4回 |
DGRW | 2.35 | 0.28 | 年4回 |
VIG | 2.08 | 0.08 | 年4回 |
(2019年1月11日現在、YAHOO! FINANCEの参考データより)
上記は配当率が高い順で並んでいます。
配当率は都度上下しますが、概ねこの順位で合っているでしょう。
PFFは断トツで配当率が高いですが、2位のSPYDも中々悪くない。
と言うか良い。経費率も0.07%と低い。
4位以下DVYまではダンゴ状態。(通常は、HDVが頭1つ抜けて3位にいます)
DHSの毎月配当は魅力ですが、経費率が高め。
SPYDの基本情報
SPYDは2018年7月からSBI証券などでも買えるようになりました。
以下、基本情報です。
名称 : SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式 ETF
ティッカー : SPYD
経費率 : 0.07%
設定日 : 2015年10月21日
銘柄数 : 80
純資産額 : 6億ドル
運用会社 : ステート・ストリート
指数 : 「S&P500高配当指数」は、配当利回りに基づき、S&P500指数の採用銘柄のうち配当支払い上位80銘柄のパフォーマンスを計測することを目標とする指数です。
「S&P500高配当指数」は、高配当の上位80銘柄を「均等」に組み入れている少し変わった指数です。
多くの株価指数は、「時価総額加重平均」を採用しています。
つまり、1位の組入銘柄の比率は高く、下位の銘柄の比率は低いわけです。
SPYDの組入銘柄と比率
組入上位10銘柄を見てみましょう。
右の数字が比率です。完全ではありませんが、均等に近いですね。
銘柄はどれどれ・・・。
クアルコム
ファイザー
なるほど・・・。
ヘルマリック・アンド・ペイン?聞いたこと無いぞ。
センチュリーリンクか・・・ふむ。
イートン?何屋だ?
・・・
う~ん、それほど米国株に精通してない私にとっては「はてなマーク」がチラホラ。
でも、S&P500の上位の高配当銘柄なのね。
そう聞くだけで安心感が違います。
なぜってS&P500は時価総額順だから、大型株の安心感があるからです。
株式投資の達人とか「通」の人は小型株で勝負できるのかもしれませんが、私はおすすめしません。
大企業だから倒産しないとは言いませんが、やはり、株式は大型株(時価総額が高いもの)に限ります。
まあ、そんなこと言って、小型株のひふみプラスも買ってますけどね。
SPYDのセクター比率
次はセクター比率を見てみましょう。
不動産 : 約24%
公益事業 : 約20%
この2つで44%です。
これなんだよな~。
頭に引っかかって、買わなかった理由は。
このセクターは共に、アメリカ国内で商売が完結している企業の集まりだと思われます。
それは別にいいんですが、比率の高さが気になるところ。
でも、その下のセクターはいい感じなんですよね。
一般消費財
生活必需品
と続いていてディフェンシブな感じがあります。
景気敏感セクターは、
情報技術
金融
コミュニケーション・サービス
資本財
の4つか。
上記4つ合わせて19.3%です。
うん、悪くないな。
後は、
不動産 : 約24%
公益事業 : 約20%
これをどう考えるかなんだよな。
公益事業はガチガチのディフェンシブ・セクターです。
全セクターが上がっている時は公益だけ下げ、全セクターが下がっている時は公益だけ上がることも多いのが公益事業株。
高配当ETFを求めていけば、結果的にディフェンシブ・セクターに行き着きます。
だからこれはOK。
だけど、公益事業は株価が大きく上がりも下がりもしないのが特徴的です。
組入比率が20%もあると、リターンが悪いんじゃないかという不安もあります。
そして、特に問題は「不動産セクター」
比率トップの24%の不動産は一体何をもたらすのか?
- プチショック時は平均より上がるのか?下がるのか?
- ボラティリティは高いのか?
- ライバルであるHDV・VYMとのリターン比較は?
このあたりがチェックのポイントか。
SPYDをチャートで検証
こういう時は、頭でいろいろ考えるより、過去の結果を重視したほうがいいでしょう。
チャートでチェックしてみます。
まずは設定来2015年10月から、2019年1月現在のチャートをS&P500と比較してみましょう。
赤がSPYD
青がS&P500
2016年1月のチャイナショックで下がっていますが、S&P500より下げは小さいみたい。
その後、2018年の1~2月と10~12月はディフェンシブ銘柄の特性が出ています。
つまり、上がるときはS&P500に負け、下がるときはS&P500より小さく下げるというボラティリティの少なさと、騰落率で負けるところです。これはHDVやVYMにも言えることです。
このチャート見ている限り、不動産と公益事業が「悪さ」をしているようには見えません。
とりあえず、利上げに著しく不利じゃないことは分かった。
・・・
次は、ライバルであるHDV・VYMとの比較をします。
期間は同じく、2015年10月から、2019年1月現在のチャートです。
赤がSPYD
紫がHDV
緑がVYM
HDVだめじゃん!
特に10~12月の原油安によって、HDVの主力のエネルギーセクターがダメージを負いました。
関連記事
通常、こういった比較のときは騰落率でVYMが勝つものなんですが、SPYDが肉迫していますね。
時期によっては上回っていることもある。
SPYDは2016年の12月に大きく価格を上げているし、全体的にボラティリティの小ささも好感できるぞ。
ボラティリティの小ささは精神安定剤だからね。
最近激落ちした10~12月の3ヶ月チャートも見てみよう。
SPYDの騰落率は、1位に近い2位ってとこか。
いや~、ほんとにHDVの立場が無いな。これは。
・・・あれ?
もしかして、SPYDが最強じゃね?
SPYDはスネ夫のようなヤツ
ドラえもんのスネ夫は人気がありません。
口は悪い、見栄っ張りで虚言癖があり、身長ものび太より低い。おねしょも直らない。
・・・
でも金持ちなんです!
SPYDも同じ。
一見、見てくれは悪かったですが(そう思っているのは私だけ?)、中身は非常にいいようです。
2015年設定なので、たしかに歴史は浅いです。これは不安材料。
しかし、3年経ってこの成績なら十分買いの理由になりました。
それに、歴史の浅い商品は徐々に、少額から始めていけば大火傷はしません。
と言うことで結論が出ました。
・・・
【結論】2019年はSPYDを買ってみよう!
だね。
それと、SPYDは配当金生活を目指すETFとしても活躍しそうです。