SPYDの下落基調は金融色が強いモーゲージREITの不振か
ー 2019年 夏 ー
「最近のSPYDって、VYMやHDVに負けてないか?」
上記、高配当ETFの三羽ガラスを常日頃ウォッチしている私は、そう感じていました。
少し前なら、下がるときはSPYDが一番マシ。上がるときはVYMに負けることもあるけど勝つこともある。
つまり、安定度がこの3本のETFの中で断トツ1番だったんです。
それが最近では、下がるときも上がるときもSPYDが一番悪い。
SPYDのセクター別組入比率
SPYDのセクター別組入比率を見てみましょう。こちらはステートストリートのサイトより。
不動産が組入1位。
他はHDVの比率に似ている。
ちなみに、VYMはテクノロジー(情報技術)が多めなので、3つのETFの中ではS&P500に一番近い値動きになります。
絶好調の不動産がダメなんてことがあるか?
SPYDの組入セクター上位の「公益事業」は常に脇役なので、良いときも悪いときも輝きは地味。
他には「一般消費財」や「エネルギー」も組入上位だが、これがダメならHDVに負けるわけない。(HDVは一般消費財、エネルギーがメインだから)
じゃあ、組入トップの「不動産」がダメなんだろうか?
いやいや。
米国REITは絶好調だとネットやテレビのニュースでよく見るぞ。
米国REITとS&P500を比較
米国REITとS&P500を比較してみましょう。こちらは1年チャート。
赤:FTSE NAREIT All REITs (米国REITの代表的な指数)
青:S&P500
ほ~ら。赤のREITが上。
米国REITは下がるときは小さく、上がるときはS&P500より大きいぞ。少し前のSPYDもこんな感じの値動きだった。
う~ん・・・
おかしいな・・・
不動産は好調なのに、なんでSPYDは落ち目なんだろう?
米国REITとSPYDを比較
次は、米国REITとSPYDを比較してみましょう。こちらは1年チャート。
赤:FTSE NAREIT All REITs (米国REITの代表的な指数)
緑:SPYD
以前と違って2月頃から連動性が低くなり、5月頃からは真逆に動いている。そら下がるわな。
当然S&P500より悪い。
・・・
最近はHDVよりダメだから、公益、エネルギー、一般消費財のせいじゃない。(それらはHDVのメインだから)
VYMにも同じく勝ててない。上がるときも下がるときも負けている。
つまり、VYMの特徴であるテクノロジーセクターが足を引っぱっているわけじゃない。テクノロジーが足を引っぱるならVYMと同じく下がる。
いや、むしろVYMだけが下がるはず。
・・・
ー 真実はいつも1つ ー
と、あの眼鏡の彼も言ってたな。
う~む・・・
・・・
まさか、
「悪い不動産が混じってるのか?」
FTSE NAREIT All REITs (米国REITの代表的な指数)はFTSE NAREIT Composite(総合指数)とほぼ同じ。
FTSE NAREIT Compositeに含まれる指数は、
- FTSE NAREIT Real Estate 50(上位50銘柄)
- FTSE NAREIT Equity REITs
- FTSE NAREIT Mortgage REITs
この3つ。
Equity REITs=エクイティREIT=不動産を直接保有し、賃料収入を主な収益源とするREITのこと。
Mortgage REITs=モーゲージREIT=不動産の所有者や運営者に資金を貸し付けたり、貸付債券や住宅担保債権を取得するREITのこと。
この3種類のREITを調べてみよう。
カタカタ、ポチ・・・(チャート分析中)
・・・
出た。
「モーゲージREIT」だけ悪いぞ。
他の上2つはAll REITsとほぼ変わらないチャートになっている。
米国REITとSPYDとモーゲージREITを比較
次は、さっきの米国REITとSPYDに、「モーゲージREIT」(FTSE NAREIT Mortgage REITs)をプラスして比較してみましょう。こちらは1年チャート。
赤:FTSE NAREIT All REITs (米国REITの代表的な指数)
緑:SPYD
ピンク:モーゲージREIT
緑とピンクの形を比べると・・・
似ている!
4月頃までは緑のSPYDは赤のALL REITに近い。
それが、5月頃からピンクのモーゲージREITに引っぱられるようにSPYDが下がっている。
「お前か、犯人は」
組入銘柄を1つ1つ精査したわけじゃない
今回私が推理した「モーゲージREIT犯人説」は確かではありません。
組入銘柄を1つ1つ精査したわけでもない。
ただ、関連性のある指数と同じ形をしているときは、大抵それに沿った結果になっているものです。
「不動産を直接保有し、賃料収入を主な収益源とする」のが普通のREITですが、モーゲージREITとは、「不動産の所有者や運営者に資金を貸し付けたり、貸付債券や住宅担保債権を取得するREIT」です。
従来イメージする不動産投資信託ではなく、「金融業」の色合いが濃いものですね。
ハイイールド債と従来REITが混ざったイメージだろうか。
現在は2019年8月。
世界中の資産家は資金がじゃぶじゃぶある状態で、債券市場にはパンパンにお金が流れています。だから債券利回りはゴリンゴリンに低下。
みんなリーマンショックは忘れてないので、今は節度ある投資先に資金を振り分けています。
ただ、ちょっと楽観論が広がれば徐々にハイリスク資産にお金が流れます。
最近のSPYDの不動産銘柄が金融色を強めた(かもしれない)のか?
たまたま今の時期だけモーゲージREITの収益が悪化しているだけなのか?
そもそもモーゲージREITが全く関係ないのか?
確かなことは分かりません。
ETFや投資信託と付き合うには寛容性が必要
現在、私とHDVが倦怠期に陥っていることはブログでも度々書いています。(気になる人は検索窓から「倦怠期」で検索)
要は相手とのすれ違い。
「私と仕事どっちが大事なのとかいう女にはジャーマンスープレックス」とある漫画で言っていましたが、そういった類のことです。
簡単に概要を話すと、私はHDVに高配当とディフェンシブ性を求めた。
しかし、彼女はJPモルガンチェースなんかを上位に入れ替えしやがってスカしている。(3、6、9、12月に銘柄の入れ替えあり)
「バフェットが注力している銀行株なんだから当然でしょ」と言わんばかりに。
HDVのアイデンティティとは真逆の金融だと?
お前は何様だ。高配当の田舎っぺETFのクセに何を勘違いしてやがるんだ。
昔みたいに組入1位とは言わないが、10位くらいにAT&Tを入れやがれ。
・・・
あ
(コホン)
失礼しました。
・・・
私は米国株ファンドをどっさり抱えて長期投資を目指している者です。
ETFや投資信託には個別株と違って、死にそうな銘柄を適宜無料で排除してくれる素晴らしい機能が備わっています。
それが、私が個別株をやらない強い理由であり、相場が大雨や地震のときもホールドできる根拠にもなっています。
反面、HDVのアイデンティティ問題や、SPYDで何が起きているかよく分からない問題など、ファンドを抱えていると「時としてモヤモヤした感情」が湧き上がることもあります。
・・・
じゃあ、どうするか?
最終的にはトータルで評価して、付き合うか別れるか決めればいいだけのこと。重箱の隅の話なら無視すればいいんです。
それでSPYDはどうするかって?
もちろんホールドです。
2015年生まれで、まだティーンにもなってない若造ですがポテンシャルはいい。
ただ、不動産というセクターに少しだけ「外様(とざま)感」を感じるもの事実。この感覚は私だけかもしれないですね。
30年後に振り返って、「やっぱり高配当の米国ETFはVYMとHDVの2強だな」とか言ってそうな気もしないでもないが(笑)、SPYDはコツコツ積み立てていきます。
もちろんスポット買いも合わせてね。
ぱたるのおすすめ記事
2019年1月に検証したSPYDの記事。この頃は良かったが、まあ波もあるさ。