パート1の続き
計画的に利益を得て、計画的に「形式上の損」を出すが実際は利益を出す。それにもかかわらず「節税」をする方法を紹介します。 これは、よくある普通の損出しの話ではありません。前回のこちらの記事の発展系です。 発展的というより「能動的」と言ってもいいかな。たまたま節税出来てラッキーとかではなく、自ら計画的に節税しようっていうこと。 一言で言うと「為替を利用した節税法」なんです。 『節税だって? そんなの年末か秋頃に考えればいいことでしょ?』と思うかもしれませんが、この方法は準備するのは... 米国株の損出しをせずに節税する方法①「概要と流れ」 - 2024年にFIREするぱたるの米国株ブログ |
前回のおさらいですが、米国株の損出しをせずに節税する方法、流れは以下です。
① 事前に安くドル転しておく(年間配当額の2倍から10倍くらいが目安)
② 過去3年間のドル円レンジでドル高の時に、ボラティリティが低い米国株や債券などを買う
③ ドル安になったら②を売り、税制上の損を出して利益と相殺(確定申告)する
以上です。
今回は、税制上損出しする銘柄の候補と、この手法のデメリットについて説明します。
前回は、税制上損出しする銘柄=利益を殺す銘柄(殺し屋)の例としてBNDで説明しましたが、他にも候補はあります。
私が候補として考えているのは「ボラティリティ(値動きの幅)が低いこと」
以下銘柄です。
7番目くらいまでは「ふーん、なるほど」と思うかもしれませんが、8、9番目に突然毛色の違うやつらが登場しています。
先ほど言ったように私が重視するのはボラティリティが低い(小さい)こと。
なぜなら、ドル安になるまで潜伏する間、本体のポートフォリオに迷惑をかけてほしくないからです。
殺し屋は黒子。
上がりもせず、下がりもせず、ただ黙ってドル安を待ちます。
そして来るべきその時に利益を殺し、自分も死ぬ。
基本はそういう地味な動きができる銘柄がベターです。
ただ、それは車で言うと片輪の話。
あくまで最低限の仕事です。
ある程度大金を投じて殺し屋になってもらう以上、その銘柄単体でも利益を出してもらわねばなりません。
仮に500万円くらい突っ込むとして、その500万円も利子なり配当なり、何かを生み出さなければ効率が悪いからです。
そう、もう1つの車輪は「配当金」です。
ボラティリティの低さと配当金による自立があってこそ、もしかしたら数年におよぶかもしれない戦いに勝利できるのです。(損失繰越は3年間)
ただ、勘のいい人は気付いたかもしれませんが、ボラティリティが低い銘柄は配当率も低く、逆にボラティリティが高い銘柄は配当率も高いんです。
銘柄候補には両輪のバランスを取ることが大切ですが、これは各人のリスク許容レベルや好みに左右されるでしょう。
下の表は、先ほど挙げた候補銘柄のボラティリティと配当率を示しています。
ボラティリティは、リーマンショック後の高値-安値で計算し「騰落率」と表記しています。
配当率は2019年3月現在のYAHOO! FINANCEデータより記載。
下図は騰落率の低い順で並んでいます。
銘柄 | 配当率 | 騰落率 | 安値 | 高値 |
BS・MMF | 2.07% | – | – | – |
VGSH | 1.90% | 2.85% | 59.6 | 61.3 |
VCSH | 2.65% | 4.00% | 77.5 | 80.6 |
BSV | 2.04% | 4.49% | 78 | 81.5 |
AGG | 2.73% | 7.69% | 104 | 112 |
SPAB | 2.98% | 8.03% | 27.4 | 29.6 |
BND | 2.80% | 8.97% | 78 | 85 |
PFF | 7.66% | 18.42% | 34.2 | 40.5 |
ARCC | 9.31% | 33.09% | 13.6 | 18.1 |
(※BSMMF=ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド)
せっかくドル安になったのに、殺し屋本体が値下がりしていたらトータル損益に関わってきます。
だからボラティリティは低いほうがいい。
しかし、値下がりリスクがあるからこそ、高配当銘柄で譲渡損失をカバーするという考え方もできます。
私のおすすめはズバリ、「AGG」と「PFF」
私の気質はハイリスクハイリターンなので、2%程度の配当率では満足できません。
それにこの手法は長期戦も覚悟しなきゃいけません。
大金がダラダラと2%程度の配当しか出さないなら、FXでもやっていたほうがマシです。(気分的にね。実際はともかく)
AGGは「バランス」に優れています。
配当は2.73%と、まともな債券の中では高レベル。騰落率は7.69%と低い。
え? 7.69%が低いどうか分からないって?
例えば、S&P500の騰落率が大体159%
ダンシングボーイのエヌビディアはなんと1323%
7%台なら非常に安定していることが分かりますね。
例えば8%なら、中間にいるとして、+-4%
上に4%動くかもしれないし、下に4%動くかもしれないってこと。
下はAGGの設定来チャート。リーマン時もあまり下がってない。
あ、こうやって見るとSPABも悪くないな。このあたりは好みでOK。
もう1つのおすすめはPFF。
こちらは「攻撃力」を生かして、守りはなんとかなるだろう作戦(笑)
配当率は7.66%でAGGの約3倍。
長期戦になれば配当金がゴンゴン積み上がっていくので、むしろ殺し屋どころかポートフォリオのメインになれるポテンシャルを秘めています。
下はPFFの設定来チャート。リーマン時に大きく下がっていますが、他は安定。
もう1つ気になっているのがエイリス・キャピタル(ARCC)
候補中唯一の個別株で、BDC(Business Development Company)と呼ばれる、REITに似ている仕組みで高配当が実現できる特殊銘柄です。
騰落率は33.09%とプチロデオ。
しかし配当率が9.31%と魅力的。価格も、長い目で見ると安定している。
下はARCCの設定来チャート。PFFと比べて、リーマン時に大きく下がり、安定度も下がる。
う~ん、悩むな~。
頭の声は「PFF」って言ってるんだけど、ハートの声から「ARCC」とも聞こえてくる(笑)
ま、しばらく考えるか。
この節税法のいいネーミングが思いつかないが、とりあえず「税制損出し節税法」としておこう。
税制損出し節税法はメリットばかりではありません。デメリットもあります。
当然ですね。そんなうまい話もない。
しかし残念ながらパート2はここまでです。
別にもったいぶってるわけじゃないんですが、デメリットがまとまりきっていません。
でもデメリットはあります。あんなことやこんなことが・・・
次回、パート3へ続く。
パート2の続きパート1はこちら 損出しをせずに節税する方法の概要改めておさらいですが、米国株の損出しをせずに節税する方法、流れは以下です。① 事前に安くドル転しておく(年間配当額の2倍から10倍くらいが目安)② 過去3年間のドル円レンジでドル高の時に、ボラティリティが低い米国株や債券などを買う③ ドル安になったら②を売り、税制上の損を出して利益と相殺(確定申告)する以上です。 今回は、この手法(税制損出し節税法と名付けてみた)のデメリットについて説明します。 税制損出し節税法のデメリット税制損出し節... 米国株の損出しをせずに節税する方法③「4つのデメリット(完結編)」 - 2024年にFIREするぱたるの米国株ブログ |