S&Pコア10種などを私がやらない理由③「最終章!感動の(笑)フィナーレ」

― パート1からパート2までのあらすじ ―

2016年、インデックス投資家になりかけていたぱたるはある日、S&Pコア10種を身にまとったシーゲル赤本に出会い、「個別株の世界」へ引きずり込まれる。

 

すでにインデックス投資と婚約していたぱたるだったが、シーゲル赤本はそんなぱたるの耳元で、

『平均の1.5倍のリターン』

『大型の高配当』

『15年連続増配』

などとささやく。

 

彼の強引なアプローチにより個別株に魅せられてゆくぱたる。

エクソンモービルやコカコーラ、フィリップモリスなどを飲まされて気持ちよくなっていたぱたるだったが、フィアンセのインデックス投資を忘れたわけではなかった。

 

薄れゆく意識の中、ぱたるは「個別株のデメリット」を思い出そうとしてた・・・

 

パート1

パート2

 

$$$

 

【パート3(最終章)】

 

ぱたる「いけない、頭がくらくらしてきたわ。インデックスさんに会いに行かなきゃ」

店を出ようとするぱたるをシーゲル赤本が引き止める。

赤本『チョイ待ち~な、もっとゆっくりしとったらええやんけ、金ならナンボでもある、店長!彼女におかわり~』

「離してください! 私、彼に会いに行かないと」

『彼? あ~、インデックス野郎か? やめときやめとき、あないなどんくさいヤツは。それより、楽しもうや!』

赤本はぱたるを無理矢理組みしだいてきた。

「やめて! 離して!」

『ええやんか、もっと楽しもうや!』

「いやー! やめてー!」

 

その時、店の扉が勢いよく開いた。

 

 

「彼女を離せ!」

 

誰か男が立っているが、逆光でよく見えない。

『誰や自分!? ここは今日貸切やぞ!』

逆光の中、男はゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

表情ははっきりと見えない。

ただ、落ち着きと不敵さを漂わせた空気が伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:【愛と誠】

 

「インデックスさん!」

『誰や自分!? 』

「聞こえなかったのか? たった10銘柄で集中投資してるくせに、耳だけは分散してるんだな」

『誰や自分!? 』

「同じことを何度言うんだお前は。言葉のつみたてNISAか」

『なんやて!? 』

 

「インデックスさん!」

 

 

 

 

 

 

 

出典:【愛と誠】

 

「ぱたる、こっちへ」

ぱたるは素早く赤本のもとを離れると、インデックスの側に駆け寄った。

「インデックスさん、私・・・」

「何も言うな、分かってる」

「インデックスさん・・・」

『おーおーお前ら! 何自分たちの世界勝手に作っとんねん! 』

「当たり前だ。世界分散が基本だからな」

『あ?』

「赤本よ、お前のS&Pコア10種は悪くない」

『当たり前やんけ! リターン1.5倍やぞ!』

「ただ、その内の1つか2つ、下落したまま塩漬けになったらどうするんだ?」

『え? そりゃお前、ええ銘柄やからな、いずれ持ち直すやろ』

「ほう、損切りはしないと。お前GEって知ってるか?」

『知っとるわ! ボケェ!』

「もう一度聞こう、そのいい銘柄が下落したまま塩漬けになったらどうするんだ?」

『え? いや、あの、え? そりゃお前、損切りするやろ』

「なるほど。それでお前のご自慢のポートフォリオは結局リターン何%なんだ?」

『え? 15%・・・はいかんか、まあダメな銘柄は入れ替えするから問題ないわ』

「それよ!」

「ぱたる」

「インデックスさん! 私、ずーと引っかかってたの。赤本さんには、落ち目の銘柄は入れ替えすればいいから問題ないって言われて、でもそれじゃリターンが下がっちゃうはず」

「その通り。個別株は1日で10%下がることもある。入れ替えすればいいなんて簡単に言うけど、必ず痛みを伴うものなんだ。いや、機械的に損切りできたらまだキズは浅くて済むな。現実は、塩漬けになって売るに売れない状態になっている投資家は多いんだ」

『そんなん言うたら、インデックスかて平均点しか取られへんちゅう弱点があるわ』

「そうだ。確かに平均点しか取れない。しかしインデックスは大負けもしないんだ。インデックスなら塩漬けになる前に、ダメ株は優良株に適宜入れ替えられる。しかも無料でだ。お前の手法なら一時は大勝ちできるかもしれないな。しかし10年、20年経ったとき、お前のやり方では必ず足を引っぱる銘柄のせいで自滅するんだよ。テニスやゴルフと同じさ、ミスしたほうが負ける世界なんだ」

『いやいやいや、そりゃ損切りでちょっとはパフォーマンスが落ちるかもしれんが、それでもお前なんぞには負けん』

「ああ、だから最初に言っただろ、お前のS&Pコア10種は悪くないと。ただ、それでも平均を下回るリスクもある。GE級が2つ出てくる可能性だってあるだろ? だから少しリターンがいいくらいのリターンは、リスクと天秤にかけたときに見合わないってことなんだよ」

『いやいやいや、俺はもっとスゴイんだ・・・』

「ほとんどのアクティブファンドがS&P500に負けてるは知ってるだろ? お前がほんとにスゴイならとっくの昔に世界中席巻してるよ、お前の手法が」

『俺はスゴイんだ・・・』

「ああ、悪くないのは分かってるよ、だから勝手にやってくれ、俺のぱたるを巻き込むな」

「インデックスさん!(ポッ)」

「ぱたる、行こう」

「はい(ポッ)」

 

『待ってくれ!』

「まだ何か?」

『ふっ、負けたよ・・・。ただ、お前は勘違いしている。』

「何だって?」

『俺は、シーゲル赤本はS&Pコア10種だけの男じゃないってな』

「あ~、知ってるよ、ダウの犬とかそっち系だろ」

『分かっとらんな。ぱたる、良かったらこれ読んでくれ』

シーゲル赤本が渡したのは、ジェレミー・シーゲル著【株式投資の未来】だった。

「これあなたじゃない」

『ああそうだ。ただ、君は俺の半分も理解しとらん。読めばその意味が分かる。じゃあな』

シーゲル赤本はそう言って寂しそうに店をあとにした。

 

ぱたるは赤本の背中を見送ったあと、【株式投資の未来】の要所を素早く読んだ。

  • 国際分散が大切
  • 最近出てきたETFは経費率0.1%ほどで安くていい
  • S&P500インデックスもいいけど、VTIがおすすめ

てっきりS&Pコア10種だけかと思った赤本だったが、インデックスやETFの良さも説いていたのだった。

 

 

 

 

「捕まえなきゃ」

 

「何?」

「インデックスさん! 一緒に来て」

「おい!」

ぱたるはインデックスの手を掴むと赤本を追いかけた。

 

「赤本さん!」

シーゲル赤本が振り向いた。

『ぱたる、どうして』

「私気付いたの。赤本さんはインデックスの良さも分かってる人だって」

『やっと気付いたか、ほんま遅いわ』

「てへぺろ☆、めんごめんご☆」

「ねえねえ、赤本さんのS&Pコア10種をヒントにして、なんかいいETFないかな?」

『せやな~・・・ そういえばHDVとか、VYMとかあるな、高配当ETFってやつや』

「え! 何それ!? サイコーじゃん! ふむふむ、経費率も安い!」

「あの~」

「ちょっとインデックスさんも何かアイディア出してよ!」

「え? アイディアって言われても・・・ とりあえず投資信託ですかね、たわらノーロード先進国株式なんておすすめですが・・・」

「古い!」

「赤本さん、行こう」

『おう、あとな、QQQなんかも悪くないで~。ポートフォリオにちょっとした刺激を与えるアクセントみたいなもんや』

「何それ~、チョー、ゴイスー(すごい)♪」

「あの~」

『あとVGTなんかもええで。リターンキングって呼ばれとるわ』

「キング? 何それ~、ゴイスー♪ ゴイスー♪」

『他にもいっぱい教えたるさかい、メシでも食わんか? ワシこう見えても金はぎょーさん持ってんねん』

「もち行く!」

そう言ったぱたると赤本は2人でどこかへ去っていった。インデックスを残して。

 

「・・・インデックスってバイ&ホールドされるとは限らないんだね・・・あれ? 目から汗が・・・何これ? 隠れコスト?」

インデックス投資が寂しそうにつぶやいた。

 

 

 

 

 

一方同じ頃、先ほどの店の店長もつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつら無銭飲食や」

 

― 終 ―

 

(※ シーゲル著【株式投資の未来】では、HDVやVYM、QQQ、VGTを推奨する文言は出てきません。)

 

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