今、1億円持ってないなら債券は要らない
米国債の利回り低下が止まらない
米国債の利回りがゴンゴンと下がっています。
こちらは米国10年債のチャート。
2016年以来の低利回りです。
こちらは米国2年債のチャート。
こちらも低い。2017年以来の低利回りです。
私は、今数億円持ってなければ、ポートフォリオに債券は不要だと思っています。
世界中の資金が債券市場に集まっている
今の世界経済はふわふわとした景気なので、良くも悪くもありません。
なので、先日の関税ショックなど単発案件は別として、世界株安に陥っているわけではありません。(アメリカやインド、インドネシアなどは堅調)
しかし、世界的な低インフレは改善せず、7月31日の米国政策金利の引き下げ発表により、前述したように米国債の利回りは大幅に低下。
世界の債券市場でも同様に債券が買われ、利回りの低下が起きています。
各国の政策金利は据え置きか、ニュージーランドやインド、タイは大幅な利下げを実施。
ふわふわした雰囲気なら中リスクの債券に群がる
世界的にふわふわした雰囲気なら、全面株高になる雰囲気ではありません。
重石はやっぱり米中摩擦。
しかし、世界中の機関投資家にはじゃぶじゃぶとお金が入ってくる。そして、
「そこそこ安全に増やせ」
と、資産家は言う。
ファンドマネージャーや個人投資家は利回りを求めてさまよい、債券に群がる。
買いが増えればますます債券利回りは低下する。
そして、大して儲からない。リスクはそこそこあるのに。
外国債券はうまみが無い
債券は儲からない、リスクがあるというのは、
- 国内債券は儲からない
- まともな外国債券は利回りが低い
- 外国債券はリターンに比べて為替リスクが大きすぎる
- 債券はインフレに対抗できない
これらが、私が不要だと思っている理由です。
まず、債券は国内と国外を分けて考える必要があり、国内はリスクは低いが金利が低いため不要。
そして、リスクが高くて儲からないと言っているのは外国債券のことです。
もちろん、生債券も債券ETFも同じです。
人気のBNDやAGGは税引き後の利回りは2%ほど。上記リスクでリターンは消え去るかもしれません。JNKなどのハイイールド債は名前の通りジャンク債。
ハイイールド債に比べたら、債券ではありませんがPFFやARCCのほうがマシだと思っています。
かといって、VGSHやSHV、SHY、国内債券などは利回りが低い。
ドル建てMMFも同様。
債券以外のペーパーアセットは何を持てばいいのさ?
『債券がダメなら何を持てばいいのさ?』
この答えは、最近何度か言っていますが、今は円預金と米ドル預金、プラス株式が最強アセットだと思います。(米ドルは米国株投資家の場合)
今数億円の資産を持ってない場合、数百万、数千万円しか持ってない場合、無理に債券を組み込んでもリターンはたかが知れています。利回りがいいときは価格が下がる。価格が上がっているときは利回りが下がる。
株価の急落時に逆張り買いの資金の置き場所として、債券を買う場合がありますが、価格が下がって損が出るかもしれません。でもしょうがないから損切りする。
債券で安心を得るつもりが、塩漬け株感覚と同じで、疎ましいアセットになるかもしれません。
株式を半分以上組み込む投資家の場合、今数億円の資産を持ってないなら現金のほうが遥かに強いんです。
ドル円はベネズエラみたいにハイパーインフレにはなりません。守りに強く、すぐに攻め(株買い)にも使える。
割合は人それぞれですが、今私は4割くらいが現金です。特に株の売却はしてないので、これもサラリーマン兼業投資家の強みですね。毎月チャリンチャリンとキャッシュフローがあるのは大きいです。
3億円くらいあれば世界は変わる
債券は不要と言っても、資産が多ければ話は全然変わってきます。
イメージ的にはどうだろう? 3億円くらいかな?
3億あれば世界は変わります。
3億円のうち例えば、
- 複数の株式に分散 40%
- 複数の債券に分散 30%
- 現金(米ドルや円) 20%
- その他有価証券や不動産 10%
このようなポートフォリオだった場合、債券は9,000万円分持っています。
このくらいあれば例えば、
外国債券A 金利2.0% ⇒ 180万円
外国債券B 金利1.5% ⇒ 135万円
と、税引き後の利回りが0.5%違うだけで、差引45万円も差が出ました。大金のメリットを生かせたわけです。
しかし、45万円くらいの利益では、
- 為替の変動リスク
- 価格の変動リスク
- インフレリスク
により消えてしまうかもしれないので、あくまで株式に比べたら安心感があるだけなんです。
投資の基本が皆に当てはまるわけじゃない
『債券はポートフォリオの基本だよ!まず債券で固め、株式を肉付けしていくんだ。多くの本にも書いてある。3億円も持ってないと債券が不要なんて理論は聞いたことがない』
という意見もあるでしょう。
いや、むしろその意見のほうが圧倒的多数かな。
事実、私も長期投資を目指して勉強中の頃は「株式と債券は半々」と覚えました。(今後も勉強は続く)
- 為替の変動リスク
- 価格の変動リスク
- インフレリスク
このような悪いことは重ならないかもしれません。
外国債券は株価の暴落にも踏みとどまるか、むしろ逆相関で好結果になる可能性も十分あります。
・・・
しかし、
仮に3億円が多すぎだとして、じゃあ1億円としましょう。
1億円くらいの資産はないと債券のパワーを存分に生かすことはできないと思っています。
利回りがそこそこある債券はしょせんリスク資産。
リスク資産は野獣を飼うようなものなので、低リスクの債券と言えどもガブリと噛まれることもあります。
というか外国債券をそもそも低リスクと私は思っていません。度合いは中リスクかな。もちろんジャンク債と短期国債じゃ雲泥の差だけど。
私も以前はVGSH(米国短期国債ETF)を5万ドルくらい持っていました。当時はSBI証券のカストックで貸し株金利が1%もプラスされていたからです。しかし、0.01%に下がったので全て売りました。
そして、国内債券は為替リスクはなく、インフレリスクも低そうだけど、利回りが壊滅的に低いからうまみがない。
高齢の大金持ちが銀行のペイオフ対策に買ってるイメージかな。
潮目はきっと変わる
冒頭でも言いましたが、トータルの判断材料として、「今は」債券は不要だと思っています。
いつになるか分かりませんが、数ヶ月から数年くらいできっと潮目は変わると思います。
何も根拠はありませんが、今までの時代々々で債券は必要とされてきたのに、今後も永久に要らないと思うのは驕りでしょう。
でもどうだろう?
先進国の低インフレは常態化しそうな気もするし、昔みたいに国債の利回りが8~10%なんて時代はこないかもね。
お金を遊ばせる罪悪感は捨てていい
現金比率を増やさずに債券を買う理由は分かります。それは、
「お金を遊ばせたくないから」
機関投資家やファンドマネージャーは希望うんぬんじゃなくて、業務として現金比率を嫌でも減らさざるを得ない。
個人投資家は、多分優秀な人ほど、
「お金は遊ばせちゃいかん!!」
と思っているんじゃないだろうか。
ちなみに、私は少し前までは強くそう思ってました。(笑)
たしかに現金は働かない。
米ドルは多少定期預金とか工夫もできますが、円は楽天銀行に入れてやっと0.1%の金利が付くだけ。
でも、局地戦で負けたっていいと最近思うようになりました。
あくまで、勝利は理想のライフプラン成功のためのトータル投資戦略。
例えば、ノルマンディー上陸作戦みたいな戦局に大きな影響を与える局地戦なら、会社をサボってチャートに張り付いたり、債券込みでフルインベストメントしたり、120%気合を入れて頑張るのかもしれませんが、今私が外国債券を持つか、米ドルを持つかの違いは、戦局を決定的に変えるもんじゃありません。
なぜなら、私は株式メインの投資家であって、債券メインの投資家じゃないから。
だから、「お金を遊ばせる罪悪感」は捨てていいと思うんだ。この条件に限って言えばね。
と言っても納得できないかな?
・・・
う~ん、例えば数値で比較するなら、
債券保有 攻撃力110 防御力60 =合計170
現金保有 攻撃力90 防御力110 =合計200
こんなイメージで私は捉えている。
まとめ
以上、「2019年 小金持ちには債券不要論」をどう思いましたか?
多分、多くの人には賛同を得られない内容だと思います。
なぜなら、きれいなポートフォリオには何かしらの債券を組み込むものだから。それが常識だから。
しかし、
「今は」
とか、
「自分のライフプランと照らし合わせると」
とか、
「自分のアセット比率の場合は」
とか、
「自分の資産額程度では」
などの要素により、常識は非常識になることもあると思います。
もちろんじっくり考えてみて、
それでも『うん、私には債券が必要だ!』となればそれでいいのです。