米国株の損出しをせずに節税する方法①「概要と流れ」
計画的に利益を得て、計画的に「形式上の損」を出すが実際は利益を出す。
それにもかかわらず「節税」をする方法を紹介します。
これは、よくある普通の損出しの話ではありません。
前回のこちらの記事の発展系です。
発展的というより「能動的」と言ってもいいかな。
たまたま節税出来てラッキーとかではなく、自ら計画的に節税しようっていうこと。
一言で言うと「為替を利用した節税法」なんです。
『節税だって? そんなの年末か秋頃に考えればいいことでしょ?』
と思うかもしれませんが、この方法は準備するのは早ければ早いほうがいいんです。
概要
米国株の損出しをせずに節税する方法、流れは以下です。
① 事前に安くドル転しておく(年間配当額の2倍から10倍くらいが目安)
② 過去3年間のドル円レンジでドル高の時に、ボラティリティが低い米国株や債券などを買う
③ ドル安になったら②を売り、税制上の損を出して利益と相殺(確定申告)する
以上です。
為替を利用するため、残念ながら日本株には使えません。(一般的な損出しテクニックを使うなら日本株でもOK)
BNDをドル高で買い、ドル安で売った例
概要だけ見ても『ん?』ってなりますよね。
そこで、以下の仮の条件をもとに、例を挙げてみます。
- 事前に安くドル転しておくとする。
- ここ3年は1ドル105円から115円とする。
- 損出しするネタはBND(債券ETF)とする。
では、上記をもとに説明します。
1ドル115円のドル高になったのでBNDを5万ドル(575万円)買いました。買値は80ドルでした。
その後時を経て、価格は80ドルのまま、105円のドル安(525万円)になりました。
そしてBNDを売ります。
売買手数料を無視すると損益は+-ゼロです。(価格は80ドルのままだから)
しかし、日本の税制上は525万円-575万円=「50万円の損失」と計算されます。(売買時の円換算で計算される)
このマイナス50万円を、利益と合算(損益通算)して節税しようっていう趣旨なんです。
インカムゲイン投資家に最適
例えば、あなたが高配当のVYMを持っていて、年間50万円の配当金を得ているとします。
この時点では米国現地税10%は取られているので、後は日本の20.315%を税金で持っていかれます。分かりやすく20%としましょう。
50万円の利益だから、20%だと10万円を税金で取られます。痛いですね。
それがなんと、先ほどのマイナス50万円を、プラス50万円にぶつけたら利益が吹き飛んでゼロになるんです。(損益通算)
だから当然税金も0円! 本来なら10万円取られるはずなのに!
現地税10%もより多く取り返せそうです(所得や控除の額により変わる)
私もそうですが、これはバイ&ホールドのインカムゲイン投資家に最適な手法です。
譲渡損益は読みづらいですが、配当金の額なら年初から大よそ分かるので。
損出しするネタ=殺し屋の候補はいろいろある
損出しするネタ(銘柄)の例でBNDを挙げましたが、他にもリスク小からリスク大まで、いろいろ候補はあります。
いずれにしても、ネタ自らが利益を出しつつ、急落して足を引っぱりづらい銘柄がいいですね。
ん? ネタじゃネーミングが悪いな。
・・・
利益を殺すために潜伏するさまから「アサシン(暗殺者)」と呼ぼう。
あれ? 「ヒットマン(殺し屋)」とどう違うんだ?
まてよ、時限爆弾っぽいから「爆弾」でもいいな。
概要まとめ
節税や確定申告を面倒だと思うかもしれませんが、節税するということは利回りを上げることと同じです。
経費率の0.01%にこだわるよりも、節税にこだわったほうがはるかに利益になります。
実際、私も今年の3月に確定申告を終えましたが、経費控除などを細かくしなければそれほど面倒ではありません。
書類作成で5~6時間(慣れれば1時間)くらい、税務署への提出が10分くらいです。
・・・
Google株などのノーインカムゲイン投資なら、いつ譲渡益が出るか分からないので、この手法が合うか分かりません。(ずーと殺し屋を待機させることはできるが)
しかし、インカムゲイン投資家は年間の利益が読みやすいので、より計画的に節税することが可能だと考えています。
パート1はここまで。
次回パート2は、
- 損出しする銘柄=殺し屋の候補
-
この損出し節税法のデメリット
このあたりを紹介できればと考えています(まだ完全に整理できてないので変わるかも)